事業費およそ148億円の「ハコモノ」を巡り新市長と議会が対立の構図です。4月に白紙撤回を掲げ初当選した宮城県登米市の熊谷康信市長は、費用の一部「7億6500万円を減額する」補正予算案を6月議会に提出し可決を目指していました。しかし、建設の推進を求める議員は、予定通り「7億6500万円を支出するため」の修正案を提出。27日に採決が行われました。いったい、どちらの議案が可決されたのでしょうか。

148億円の「ハコモノ」とは、「登米市(仮称)地域交流センター」のことです。基本計画によりますと、交流センターには①公民館の機能、②図書館の機能、③市役所・議会の機能が含まれます。計画規模は1万7400平方メートルで事業費はおよそ148億円です。登米市では庁舎の老朽化などが課題となっていて、地域交流センターの整備によって「新たな行政サービスやにぎわい」を生み出すことができると基本計画には明記されています。前市長の熊谷盛廣氏のもと、既に基本計画は完成、今後は設計図を作成する事業者を公募することになっていました。

そんな中、4月に行われたのが任期満了に伴う市長選です。「地域交流センターの是非」が最大の争点となりました。現職だった熊谷盛廣氏(74)が計画推進を掲げたのに対し、新人の熊谷康信氏(47)は、財政負担などを理由に白紙撤回を訴えました。結果は、白紙撤回を訴える熊谷康信氏が1万6000票近くを獲得、計画推進を掲げる熊谷盛廣氏に3000票差をつけて初当選を果たしました。
初登庁した際も、熊谷康信市長は「白紙撤回を掲げて勝ったので議会・議員にも丁寧に説明しながら進めていきたい」と話していました。148億円の地域交流センターは、いったん白紙撤回となる、この時はそう思われていました。しかし…。