原告の「避難計画の中身に入った」この意味は?

仙台高裁は具体的な危険性の立証がないとして原告の主張を退けましたが、一審とは異なり避難計画には触れました。

原告が「避難計画の不備」として指摘した具体的なポイントは2つありました。高裁がどのように判断したか見ていきます。

一つ目は「検査場所の開設」です。「検査場所」は避難計画に定められていて、住民に放射性物質の付着がないか確認するための場所です。原告は、「交通渋滞などを理由に人員や資材の準備ができず開設できない」と主張していました。

これに対し仙台高裁は、「避難計画は発生した事態に臨機応変に対応し、段階的に避難を実施することを想定している」として、「避難計画の誤りとは言えない」としました。

二つ目は「避難に使うバスの準備」です。避難計画では住民の一部がバスを使って避難することになっていますが、原告は「必要なバスの台数やバスの確保ができるかどうか検討されていない」などと指摘しました。

仙台高裁はこれに対し、「自治体は避難指示を出す際に輸送手段や経路などを考慮することになっていて、原告が指摘する点もそれに含まれる」と答えました。

このように、「門前払い」だった一審とは違い避難計画に触れはしたものの、「避難計画に不備がある」とした原告の主張は認められませんでした。

判決を受け東北電力は「裁判所に当社の主張を理解していただいた結果と受け止めています。引き続き、避難計画の実効性向上に向け事業者としてできる限りの協力をしてまいります」とコメントしています。