当時のブルートレイン 車内は「ゆったり」ぜいたくな空間
当時の寝台特急「出雲」の車内をのぞいてみましょう。基本は8両編成で先頭の1号車がA寝台個室のシングルデラックス、5号車が元食堂車のフリースペース、他の車両は開放型の2段式B寝台でした。

A寝台個室のシングルデラックスは、洗面台を組み込んだ小さなテーブルのみを備えた古いタイプで「サンライズ出雲」と比べると、設備面では見劣りしました。

B寝台は、通路と直角にベッドを並べた2段式で、ほとんどのブルートレインに連結されていました。浴衣を備え、ベッドの長さは195センチ、幅は70センチ。カーテンを閉じれば、プライベートな空間でゆっくり休めました。
23時00分発の「銀河」は寝台“急行”列車。東海道新幹線の最終よりも遅い時間に東京駅を出発し、始発よりも早い時間に大阪駅に到着する東海道線の列車で、忙しいビジネスマンなどに利用されていました。“急行”だったことで料金を安く抑えていて、全区間を利用すれば、“新幹線の普通車指定席”と“銀河のB寝台”との差額はプラス1300円ほど。この差額でゆったり寝て行くことができたのです。

「銀河」の廃止は2008年3月。筆者は、廃止直前の2月に「銀河」のA寝台に乗車しました。A寝台は1号車で開放型の2段式。B寝台との違いは、中央の通路を挟んで進行方向にベッドが並んでいたことです。列車が進む方向と体の向きが同じなので寝心地が良く、何よりベッドの幅が下段で93センチ、上段で88センチもあって、本当にゆったりできました。今思えば、贅沢な時間の使い方ができた旅でした。