信州が誇る伝統野菜や発酵食品、ワインや日本酒を世界に発信するディナーイベントが、松本城の本丸庭園で開かれました。
文化財を活用した初めての試み、その舞台裏を取材しました。
■イベントを主催した扉ホールディングス・齊藤忠政社長:「史上初の国宝でのプレミアムディナーを開催したいと思っています」

松本城の本丸庭園で10月の2日間(16日・17日)行われたディナーイベントは、市内で宿泊施設やレストランを手がける企業が主催。

松本城を舞台に信州の食材を世界に発信し、外国人観光客の誘致や地元生産者の販路拡大につなげる狙いです。
■野菜を生産する信州ゆめクジラ農園 古田俊さん:「長野は1日の温度差が20度になることもある 温度変化で野菜の味がひきだされ、うまみも色も濃くなる。長野ならではの野菜の魅力が伝わってくれたら」
腕を振るうのは、国の内外で活躍する9人の著名なシェフたちです。
参加するシェフの1人、松本市内のフレンチレストラン「ヒカリヤニシ」の田邉真宏さん。

ディナーの食材は、いずれも信州を代表する品々です。
(田邉さん)「魚は佐久鯉、肉は信州プレミアム牛とか、小布施の栗、市田柿、開田のすんき…」

田邉シェフが担当するのは、ディナーを締めくくるデザート。
当日は、小布施町で採れた栗を使いモンブランを作ります。
しかし、イベントが1週間後に迫ったこの日も、試行錯誤は続いていました。
■田邊シェフ:「ピスタチオとか振った方がいいのかなあ?いらないかな… まだ決まってないんですよ。ギリギリまでいろいろ考えて 当日一気にいけるようにクオリティー上げていかないと」
本番の5日前。
本丸庭園ではテーブルを並べるためのステージを組むなど会場の設営が始まっていました。
松本城を舞台にした初の試みは、インバウンドの本格的な回復を目指し、観光庁が進める「観光再始動事業」の一環です。
市は、城の新たな魅力を生み出し、街の賑わいや活性化にもつながると判断し、開催にゴーサインを出しました。

■齊藤社長:「松本が脈々と大切にしてきた大きな財産を使わせてもらうことにドキドキ感があるし、安全にやることが重要なポイントだと思っています」