(真空管ラジオ再生工房・勝野薫さん)「これはラジオの出始めのころ、昭和ひとけたのラジオ。外回りは新しく作り直したが、中身については昔のものを使っています」

「戦前のラジオとしてはこういうラジオですね。これはスピーカーと本体が一体型になるが、ミゼット型と呼んでいます」

さらに、スマートフォンなどに収録した音楽を無線で再生する「ブルートゥース」を搭載。

好きな音楽を楽しむこともできます。

(勝野さん)「真空管のラジオの音というのは、そんなにクリアな音じゃなくてちょっとぼけているけれど、どこかほのぼのするなという、そんな感じの音ですね。それが癒しというのか、そういうことにつながっていくのではないかと思う」

真空管ラジオに魅せられたのは、市内の精密機械メーカーに勤めていた20年ほど前のこと。
出張先での出会いがきっかけでした。

(勝野さん)「たまたま高知の骨董屋さんでこのラジオが3つ並んでいるのを見つけて、その時にはたと感じたものがあって、それを3台まとめて購入してきて、うちで並べたら「ああこれを蘇らせてやろう」と。よみがえることによって命が与えられて、また音が出るようになるという、その辺の魅力に取りつかれちゃったわけです」

中学、高校のころはアマチュア無線が趣味で、ラジオも自作していた勝野さん。
自宅に工房を構えて修理に没頭し、退職後は少なくとも一日5時間、ラジオと向き合います。

「世間のいろいろなつまらないような悩みだとか、ここに来るとすべて忘れて没頭できる。没頭できることがある、場所があるというのが、すごく私にとって幸せだなと思う」

修理したラジオを県内や愛知県のクラフト市などで販売しているうち、客や愛好家とのつながりが生まれ、壊れたラジオを譲られることが増えました。

「この部品をどんどん新しい部品に替えていく。こういう部品を交換すると大体ラジオが鳴るようになる」