長野県佐久市で2023年、男性が車にはねられ、長和町の山林に遺棄された事件の裁判員裁判で、殺人などの罪に問われた男に懲役12年の判決が言い渡されました。

判決を受けたのは、佐久市安原の無職・佐藤英伸被告34歳です。

佐藤被告は、2023年12月、佐久市の県道で当時85歳の男性を車ではねた後、長和町の山林に遺棄し、死亡させた罪に問われていました。


裁判の争点は、殺人の罪が成立するかどうかでした。


長野地裁で開かれた判決公判で、坂田正史裁判長は「被告は一連の行為で被害者が死亡に至るかもしれないが、事故の発覚を防ぐためにはやむを得ないという認識でいた」として検察側が主張する殺人の罪の成立を認定しました。

一方、山林に遺棄した際「死亡してもやむを得ないとは思っていない」との被告の主張は認めませんでした。


坂田裁判長は、「確定的な殺意に基づく行為でなかったことは情状にあたって考える必要がある」とした上で、「身勝手極まりない行動が原因で被害者は本来救われたはずの命を奪われた」と述べ、佐藤被告に懲役12年を言い渡しました。

弁護側は、控訴しない方針です。