子どもが乗ったまま山車をぶつけ合う勇壮な祭り「御影新田(みかげしんでん)の道祖神(どうそじん)祭り」が、長野県小諸市で開かれました。
新型コロナの影響で3年ぶりに開かれた、伝統の祭りを追いました。

7日、朝8時前。
小諸市御影地区の道祖神に、親子が集まってきました。
シートを外して現れたのは、飾りつけ前の山車。
本体部分の高さは、およそ2.2メートル。
ぶつけ合うときは4年生以上の小学生が乗ります。

上宿(かみじゅく)と下宿(しもじゅく)それぞれの地区の山車に子どもを乗せてぶつけ合う「御影新田の道祖神祭り」。
300年以上前の江戸時代、幕府直轄の天領(てんりょう)だったころに始まったと伝えられる伝統の祭りも、新型コロナの影響でおととしと去年は中止に。
今年、3年ぶりに復活します。

祭りを裏方として支える「世話人会」の土屋裕一(つちや・ゆういち)会長も再開を心待ちにしていた一人です。
「きょうは、晴れ舞台です、皆さんの努力の成果が実って、3年ぶりです、本当にうれしい限りです、子供たちの元気な姿を見ていると、本当に泣けてきます」

山車を仕立てるのは、小学生の親たちです。
「3年ぶりだからたいへんです、前やったけど、ほんとこれでいいんだか、記憶が飛んじゃって」

何度も激しくぶつけ合う山車が壊れない秘密は、その構造にあります。
(土屋裕一会長)「(縄で結んであるのは衝撃を?)衝撃を吸収するように、柱や山車自体を長く持たせることが出来る」

(山車を作った土屋栄徳さん)「山車の筋交いをロープに変更し、それから23年、22回ぶつけてますけど、そんなに壊れなくなりました」
午後3時。
安全を祈る神事に、飾りつけを済ませた上宿・下宿の山車がそろいました。
2本の竹に飾られた提灯は、前の年に生まれた子の親が奉納する習わしです。
「5、6年前に引っ越してきて、コロナで3年間くらいできなかったので、今年初めて提灯つけます」
「うれしいです」
(上宿親方総代・渡辺賢吾さん)「3年ぶりだから、子供たちも久々に見た子もいるしね、何もなかったからね、行事がね」
(下宿親方総代・土屋朋隆さん)「いろんな行事やイベントがつぶれてきた子供たちなので、何か思い出に残ればいいなと思って今日楽しんでやってもらえればいいと思う」
日が暮れた午後5時半。
(渡辺さん)「けがのないようにね、ついつい熱が入るとね、ふんばるんだよ、飛んでっちゃだめだよ!」
3年ぶりの祭りのスタートです。
子どもたちを乗せた山車の重さはおよそ1トン!
400メートルほど先の会場まで押していくのも、親の務め。
わずかな方向転換も、一苦労です。
午後7時前、上宿、下宿それぞれの山車が、再びそろいました。

繰り返される山車の激突!
子どもたちは、ふんばってこらえます。
小学生時代、祭りが中止になった中学生たちも、特別に乗せてもらいました。
山車のぶつけ合いは、休憩をはさみながらおよそ1時間続きました。


「怖かったけど、面白かった、楽しかった」
「(Q相手の山車が迫るときは?)すごくドキドキして、うわーみたいな…」
(渡辺さん)「疲れました…よかったですね、けがもなくてみんな」
(土屋会長)「3年ぶりの開催ということで、喜んでいただいたでよかった、みんな道祖神祭りっていいよねという風に思ってくれたと思います、絶やさないようにやっていきたいと思います」
地域の人たち、そして親子が300年以上伝統をつないできた、「御影新田の道祖神祭り」
3年間の空白を乗り越え、次の世代へと受け継がれます。