「守ろう、笑顔と尊い命」──高校生へのメッセージ
大谷さんは、高校生たちへのメッセージを伝えた。
「命は大切にしてください。周りに悲しむ人はたくさんいます。また、自分自身がこのバス事故だけじゃなく、いろんな交通事故に遭わないようにしてください。そして、自分自身が何をすれば遭わないということを、自分事として考えてください。そして、事故を起こさない側にもなっていただきたい」

最後に、大谷さんは9月、商業施設で行われた交通安全イベントで、軽井沢警察署の署長から聞いた標語を紹介した。
「『守ろう、笑顔と尊い命』。非常にいい表現だと思っております。皆様方、ぜひこの授業を聞いて、少しでも交通安全に気をつけて、そして自分事として考えていただければ幸いでございます」

軽井沢スキーバス事故から1月で10年。遺族たちの活動は、確実に次世代へと受け継がれようとしている。失われた命が決して無駄にならないよう、交通安全への意識を高め、語り継いでいくこと──それが、残された者たちにできることなのだ。
【前編を読む】
【軽井沢町のスキーツアーバス転落事故】
軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで、2016年1月15日午前2時前、都内から県内のスキー場に向かっていたスキーツアーの大型バスが、カーブを曲がりきれずに道路脇に転落。大学生13人と運転手2人の計15人が死亡し、26人が重軽傷を負った。長野地裁は2023年6月、業務上過失致死傷罪に問われたバスの運行会社の社長に禁錮3年、当時の運行管理者の元社員に禁錮4年の実刑判決を言い渡した。両被告は控訴し、2025年11月に東京高裁で控訴審が始まっている。












