例年2メートルを超える積雪がある長野県栄村では、冬の手仕事として「ねこつぐら」が作られてきました。

わらで作ったネコの寝床は、冬温かく、夏は涼しく、素朴なデザインも、猫と人をひきつけます。

高齢化などで職人は徐々に減るなかで、栄村に移住して「ねこつぐら」作りに打ち込む女性がいます。

村の歴史文化館「こらっせ」で「ねこつぐら」を作るのは、安田深雪(やすだ・みゆき)さん54歳です。村教育委員会の集落支援員として週に4日ほど、「ねこつぐら」づくりを実演しています。

福岡で生まれ、京都で暮らしていた安田さんが栄村に移住したのは3年前の9月。地元のベテラン職人に技を教わりながら腕を磨きました。

安田さんは「完成させるのに最初は半年くらいかかった、今は3週間から1か月くらいだが、ベテランの職人さんはもっと早くできる」と話します。

栄村の「ねこつぐら」は、深い雪に閉ざされる冬の手仕事として、江戸時代から受け継がれてきました。

「つぐら」とは「稲わらで作った入れ物」のこと。農作業のときなどに使う赤ちゃんのゆりかご=「ぼぼつぐら」などがあり、愛用されてきました。

安田さんと「ねこつぐら」との出会いは2006年。雑誌で見てほれ込んだ安田さんは、その年の栄村の豪雪をニュースで知り、応援の意味を込めて、「ねこつぐら」を注文しました。

安田深雪さん:
「実物のねこつぐらを見てとてもきれいだったので、それでなぜか作りたいと思いました」

栄村に移住したばかりのころの作品があると聞き、安田さんの自宅を訪ねました。


安田深雪さん:
「これが栄村で作った2作目。ワラが手に入らなかったので、紙のひもで代用して作っています」

愛用しているのは、安田さんと暮らすネコの「べに」と「るり」の姉妹。
爪でぼさぼさになったつぐらは、愛されている証です。

この「ねこつぐら」作りこそ、安田さんが移住を決めた理由でした。

安田深雪さん:
「村民じゃないと教えてもらえず、門外不出だったので、じゃあ移住しようと」

3年前の春、初めて栄村を訪問。豊かな自然と優しく、おおらかな村人の人柄に触れ、その年の9月に移住しました。

移住する前、本を見ながら見よう見まねで1作目を作り、こちらは2作目です。

安田深雪さん:
「やっぱり本なんで、肝心なところは書かれていない。なので、こっちに来て職人さんたちに見てもらったらここが違う、ここが違うって言う風に言われて」

こうして「ねこつぐら」作りを始め、村の振興会にも入会した安田さん。6作目にして初めて「Aランク」とされる「ねこつぐら」をつくれました。