北澤さん:
「定年してみると意外に先長いんですよね。100歳だと30年もあるんですよ。ただ主体的に働く働き方っていうのはないんですね。ですから一定程度元気な高齢者は、もっと地域で活躍できる仕組み、地域の担い手になるような、そんな働き方をできたらいいなと」

転機となったのは2022年の労働者協同組合法の施行です。

働く人が自ら出資し、経営も行う新たな法人が設立できるようになりました。

制度の目的のひとつは少子高齢化が進む中で必要とされる地域貢献の担い手の確保です。

これまではNPO法人などが課題解決の事業に取り組んできましたが、設立には所轄官庁からの許認可が必要など活動が制限される場面もありました。


一方、労働者協同組合にはこうした制約がなく、派遣以外のあらゆる事業を行うことができます。

また、法人格があることで、業務委託契約が結べることから、地方自治体と連携しやすいといったメリットもあり、12月1日時点で全国で117団体が設立されています。

北澤さん:
「利益が出そうな事業はすでにいろんな皆さんが取り組んでいるんですね。儲からない仕事はほとんど手をつけられないんですよ。しかし地域の課題はそういう課題ばっかりですよね。だからそういう課題を解決するにはこの労働者協同組合法を生かした形じゃないと解決に向かっていかないんじゃないか」


労協うえだの給与は最低賃金以上の時給制で、仕事の種類によって1000円、1300円、1500円と設定されています。

利用者には組織の運営費なども含めた金額でサービスを提供しますが、1年間でおよそ40件の仕事の依頼がありました。

元警察官 矢口毅さん(70):
「楽しいですよ。毎日が違う仕事を色々やったりするから変化がある刺激になる。報酬をいただきながら、かつありがとうといただいた言葉がけっこう重たいですよね。ありがたい」

農家 堀内けい子さん(77):
「うちの主人が亡くなってどうしていいかわからなかったんですけど、こういう活動があるっていうのを知って、本当に救われたっていう思いですね」

やりがいとともに大切にするのが、つながりです。

現役世代の人にも、この組織に参加してほしいと話します。