考案のきっかけは、東日本大震災の被災地で自治体の職員が支援物資の手配や仕分けに追われたことでした。

以前から有馬さんと付き合いのあった石巻市の職員もその一人です。

当時の日記を読み上げる石巻市の職員:
「家族で連絡取れず安否不明。物資・食料・水の手配に追われる」

石巻市の職員:
「仕分け作業がとても大変でした」

職員から仕分けの負担について相談を受けた有馬さん。

自身も東北の避難所を訪ね課題を実感しました。

有馬さん:
「職員のかたも一生懸命やっている。なんとか被災者にいい形で提供したいと思うけれど、それがうまく回せなかったり」


有馬さんが事業化した仕分け不要の備蓄品「ガーディアン72BOX」を導入しているのは、全国の21の自治体で、県内では売木村など南部の8町村です。

ひと箱が3万5000円ほどで、費用は基本的に、趣旨に賛同してくれた企業や団体からの支援金で賄われます。

村民:
「あれば安心かなと思いますし、家にある、一応(防災用に)用意しているものの参考にもなるなと思いました」
「山奥なんで道が寸断されたりするとこわいんで・・・」

9月、防災の日の訓練で受話器を手に取った清水秀樹村長。

清水村長:
「集落が孤立しそうな状況であります」

電話の先は東京にいる有馬さん。

清水村長:
「各町村に備蓄している物資を売木村のほうへ・・・」
有馬さん:
「わかりました」

清水村長の依頼は、被災した売木村に被災していない周辺の町村からボックスを送ってほしいというもの。

ボックスは災害時、自治体の間で融通しあう仕組みになっています。

売木村・清水村長:
「売木村はどこから入ってくるにも峠を越えないと来られない地域」
「災害があると職員も被災する」
「仕分けなしに支援者(支援が必要な人)に送れるのは非常にありがたいと思っている」