■~4つのテーマとは~
(1)「丸山被告の所在・移動の状況」
(2)「動機」
(3)「現場の状況・痕跡」
(4)「事件前後の丸山被告の言動」
■冒頭陳述で対立した検察側と弁護側の主張
初公判の冒頭陳述などで明らかとなった両者の主張を4つのテーマごとにまとめます。
(1)「丸山被告の所在・移動の状況」
この事件でポイントとなるのが、事件当日、丸山被告はどこで何をしていたのか。
当時、県議会議員だった丸山被告。
事件当日の9月29日は県議会の一般質問が行われる予定で、前日28日の夜は、議員会館で同僚議員と酒を飲んでいました。
長野市の議員会館から塩尻市の自宅まで直線距離でおよそ60キロ。
両者の言い分は真っ向から対立しました。
■検察側の主な主張
・議員会館から車を運転
・幹線道路を避けて議員会館と塩尻市の自宅を往復
■弁護側の主な主張
・議員会館から移動していない
・議員会館で寝ていた
検察側は、防犯カメラの映像などから丸山被告の車が、28日の午後11時20分に議員会館を出発。
翌日の午前1時44分ごろ自宅に到着し、妻を殺害後、午前3時4分に自宅を出発し、午後5時7分に議員会館に戻ったと指摘しました。
防犯カメラに映っていた車両の特徴は
・後部のナンバープレートの左右に大きなへこみキズ
・左側面、後輪近くに線状のキズがあるというもので、いずれも丸山被告の車両と一致。
道中ではナンバーを読み取るシステムが設置されている高速道路や幹線道路を避けて移動したと指摘しました。
一方、弁護側は丸山被告は同僚と酒を飲んだ後、議員会館で寝ていた。
議員会館の外にいるところを誰も見ていない。
防犯カメラに映った不審車両は、丸山被告の車と同一車両であるとは言えない。
などと主張しました。
(2)動機
■検察側の主な主張
・妻の実家への借金
・不倫相手との関係
■弁護側の主な主張
・殺害する動機はない
検察側は、丸山被告は酒造会社の経営不振から、2015年に妻の実家から少なくとも4000万円の借金をしていて、返済をしていなかったと指摘。
また、2015年から不倫をしていた女性がいて、翌年には不倫をしていることを妻に知られたといいます。
妻に離婚の意思はなく、妻の父親からは離婚するなら議員をやめるよう迫られていたなどと指摘。
妻の父親は当時の塩尻市長や前職の県議と親しく、2015年の県議会議員選挙で当選したのは父親の人脈を生かした全面的支援があったといいます。
女性との不倫関係を続ける中で、妻や実家との関係を絶たれると、借金の返済を迫られ、再選への支援も得られなくなるため、離婚による不利益を被らず、女性と交際を続けるには妻が死亡する以外に選択肢が無いとして、殺害に至ったと指摘しました。
一方、弁護側は、
・事件当時、会社の経営は持ち直していて、実家から借金の返済に迫られることはなかった。
・不倫相手の女性に妻と離婚すると話したことはあったものの、女性の気を引くためであり、離婚するつもりもなかった。
・妻との関係は悪くなく、いなくなって一番困るのは丸山被告自身である。
などとして、妻を殺害する動機はないと主張しました。