石川県で生産され、7割が長野県で消費されるほど、信州人に愛されている「ビタミンちくわ」。
元日の能登半島地震で被災し、生産が停止していた製造工場が31日、およそ5か月ぶりに再開しました。
平歩記者:
「出来たてホヤホヤのビタミンちくわです。マスク越しでも分かるくらい、いい匂いがします」
石川県七尾市にある水産加工のスギヨ。
長野県でもおなじみの焼きちくわ「ビタミンちくわ」などの水産加工品を製造しています。
元日に発生した能登半島地震。
最大震度7の揺れが石川県能登地方を襲い、広い範囲で家屋の倒壊や道路の寸断、断水などの被害が出ました。
七尾市にあるスギヨの本社や工場も被災し、ビタミンちくわも生産停止を余儀なくされました。
スギヨ北陸工場 古川竜太朗(ふるかわりゅうたろう)工場長:
「一番ひどかったのは、天井の欠落ですね。水であったり蒸気であったり、そういった配管関係の損傷も大きかったというところで、5か月間という期間がかかった」
未曽有の危機の中、スギヨでは対策本部を設置。
七尾市の商工会議所会頭を務める杉野哲也(すぎのてつや)社長は、能登の復興へ活力を取り戻したいと、製造の再開を目指し、被災直後から復旧を進めてきました。
そして、地震発生からおよそ5か月経った31日、工場再開の日を迎えました。
古川工場長:
「皆さんに、ちくわをお届けできるようになりましたし、がんばってやってきたかいがあった」
「メールお手紙等で、ビタミンちくわがスーパーで売ってないとか、早く食べたいとかっていう声援などもいただきました」
各地から届いた応援メッセージの中には、長野県からも…
小学生:
「長野県にビタちくが届くのをまっています」
「ビタちく」の愛称で親しまれているスギヨの「ビタミンちくわ」。
1952年に発売されると、当時、新鮮な海産物が手に入りにくかった長野県で大ヒットしました。
2004年放送のSBCスペシャル:
「ビタミンちくわの生みの親は、石川県七尾市の水産品加工メーカー。こちらのちくわにはビタミンAとEが含まれています」
20年前のSBCの番組の中でも…
マルイチ産商デイリー食品課 長谷川禎課長(当時):
「長野県しか売れないと言ってもいいくらいの商品ですね」
ナレーション:
「ここで作られるビタミンちくわのおよそ70%が長野県行きです」
「長野県民が摂取するビタミンのいくらかは昔も今もちくわからとっているのかもしれませんね」
発売開始から70年以上経った今でも変わらず県内で愛される「ビタミンちくわ」。
地震による生産停止を乗り越えて6月1日から、県内のスーパーなどでも販売が再開されます。
古川工場長:
「不安だったんですが、こうやってトラブルなく非常に良かったなと思います」
「ビタミンちくわ、これからもよろしくお願いしますという気持ちでいます」