「ダムによらない治水」という考え方に変化が
しかし白紙撤回から12年後の2020年…甚大な被害を出した「7月豪雨」で風向きが再び変わります。

蒲島知事「新たな流水型のダムを国に求めることを表明いたします」
豪雨の被害を受け、蒲島知事は考えを一変させ、豪雨の時だけ水を溜める新たな流水型ダムの建設へ大きく舵を切ることになったのです。
県は「ダムなし」の村づくりを進めていた五木村の振興計画案としてダムを活用した観光策など、20年間で100億円の財政支援を提示します。

しかし、再び持ち上がったダム建設の賛否に揺れる五木村はこの計画に反発。国、県、村の3者はダムと切り離した形の新たな計画案で合意します。村民からは不安の声が…
村民「これはダムを前提とした振興計画ではないか」
実際、国と県は建設に向け、着々と計画を進めていて、事業開発が周辺地域の環境にどのような影響を与えるのか調査する「環境アセスメント」も始まっています。

蒲島知事「極限まで環境への影響を検討するのが国の考え方。それを示して分かりやすく示していただくことで(村民の)理解をいただけるのではないか」
旧ダム計画で移転を強いられるなど、五木村の人口はピーク時から8割以上減り、1000人を切りました。

『村がなくなるのではないか?』かつての水没予定地から高台に移転した村民からは…
村民「老人の村という感じ」
村民「五木村が将来どぎゃんなっとじゃろうかと。30年後、50年後、100年後どぎゃんなっとじゃろうかという頭で描くことはできん」

『早急に村の振興を』
半世紀以上、ダムの2文字に翻弄され続けてきた村民たちは強く訴えます。