国際映画祭の賞を総なめにした映画『さらば、わが愛/覇王別姫』の公開から30年。RKB毎日放送の神戸金史(かんべ・かねぶみ)解説委員長は、若い頃に観損なっていたが、主演レスリー・チャン没後20年でもある今年公開された4K版を映画館で鑑賞し、想像を超えた映像美をRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で語った。
◆観損なっていた名画
8月13日に映画を観に行きました。『さらば、わが愛/覇王別姫』4K版(監督:陳凱歌〔チェン・カイコー〕、中国・香港・台湾合作)は1993年に制作されたものですが、公開30年を機に、いま4K版が上映されているのです。

30年前、私は観損なっていて、妻にその話をしたところ「観てないの? ものすごくよかったよ!」と言われたため、行くことにしました。4K版で映像と音響がよく、本当によかったです。
◆「京劇」俳優を演じるレスリー・チャンの美しさ
映画は長くて172分あります。物語は1924年、今から100年くらい前の中国で、9歳の主人公が、貧しさから京劇の劇団に売られてしまうところから始まります。京劇というのは、日本で言うと歌舞伎に当たるような演劇です。
京劇:歌、しぐさ、せりふ、立ち回りにより表現を行なう中国の代表的な舞台芸術。1790年に北京で誕生したとされている。

顔の「隈取り」も、歌舞伎に似ています。今は違うらしいですけど、当時は演じるのが男性だけだったので、より歌舞伎に似ている要素もありますが、体をアクロバティックに動かすところが特徴です。
劇団に売られた少年は、ものすごいスパルタの中で育っていきます。「覇王」を演じる男性と「姫」を演じる男性の俳優2人のうち、姫を演じているのが香港の大スター、レスリー・チャン(2003年没)。整った顔立ちがとにかく美しくて、もうびっくりしました。

時代に翻弄されながら、京劇の美しさにかけていく人たち。男同士ではあるのですが、実は姫役は内心「覇王」役に対して恋心を持っているのです。しかし「覇王」役は、妻をめとります。この3人が、主人公。結婚した2人を、横から見ているレスリー・チャンが、あまりに美しいのです。







