あの日のこと「あと紘くんだけ 紘くん、紘くんと思いながら海に潜った」
7月11日、福岡市東区の博多高校で開かれた講演会。
大上さんは命の尊さと事故の悲しみを高校生に伝えました。

大上かおりさん
「車は海の底の方に沈んでいて、海に潜って後ろから小さな窓から割れた窓から車内に入って泳ぎながら子供を探し始めました」

次男の倫彬ちゃんと長女の紗彬ちゃんを助け出した大上さんは、海面にいた夫に2人を託します。
大上かおりさん
「あと紘くんだけ。紘くん、紘くんと思いながら潜りました」

必死で探しますが長男の紘彬ちゃんは見つかりません。
息が続かず再び海面に上がった時には夫は力尽き、2人の子供たちと一緒に海の中に沈んでいました。
「私は紗彬ちゃんと倫くんを助けることを選びました」

大上かおりさん
「紘くんをもう一回助けにいきたい。だけど紘くんを助けに行っている間に、もう3人は死んでしまう。3人をあきらめなければいけない。私はどうしたかというと紗彬ちゃんと倫くんを助けることを選びました、ということは紘くんは諦めるってこと、紘くんは死ぬってこと、だから紗彬ちゃんと倫くんを助けに行く前に『ひろー』ってありったけの声で紘くんの名前を呼んで、私の中で紘くんごめんね、紘くんごめんねって思いで『ひろー』って叫んで、紗彬ちゃんと倫くんを助けることを選びました」
究極の選択を迫られ苦渋の決断を下した大上さん。
なんとか2人を助け出しましたが2人は、すぐに息を引き取りました。
大上かおりさん
「これが私たち家族があの日失ったものです。残ったのは深い悲しみと苦しみです」