5銭が落ちると「チーン」10銭が落ちると「ボーン」

その自動電話には硬貨の投入口が2つあった。5銭用と10銭用。ところで、利用者が硬貨をいくら入れたか、どうやって判別していたのか?

実は、投入口の内部にベルが仕込まれていて、5銭が落ちると「チーン」10銭が落ちると「ボーン」という音が鳴り、その音を交換手が電話越しに聞いて判断していたという。

人工知能が発達する現代からすると、何とも微笑ましいシステムだが、きっと当時の人にとっては、夢の最先端のテクノロジーだったことだろう。

2031年度には3万台に

さて、携帯電話やスマートフォンの普及で、公衆電話をあまり見かけなくなってきた。

公衆電話施設数の推移
1984年 93万4903個
1994年 80万0772個
2004年 44万2302個
2014年 18万3655個

※NTT東日本による

NTT東日本、西日本によると1984年度には93万台を超えていた公衆電話を、2031年度には3万台まで削減する方針だという。

いつかスマートフォンも微笑ましく思える未来がやってくるのだろうか。そして、その頃の通信環境はどうなっているのだろうか。時代ともに文化は変貌を遂げていくものだが、その典型的な例なのかもしれない。

RKB毎日放送アナウンサー 坂田周大