かわいい映像…としてだけで放送することには慎重になったほうがいい…、そう指摘するのは、広島市安佐動物公園の畑瀬淳さんです。
今回、撮影した映像を見てもらったところ…。

「このクチバシがですね細かい模様がなくてのぺーっとした感じの色に見えますよね。目のところを通っている過眼線(かがんせん)という線があるんですけど濃かったり太かったり頭のてっぺんも濃いので顔立ちがすごいハッキリして見えます。このへんも少し不自然な点ですね。このあたりのウロコ模様もこの乱れ方も『マガモ』だともっときれいに整然と並んでいます」(広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん)

畑瀬さんによると、今回、私が「カモの親子」と思って撮影したのは…。
「『マガモ』から作りだされた家禽で『アヒル』っていますよね、その『アヒルの一種』だと思ってもらったらいいかと思います」(広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん)

撮影した鳥について畑瀬さんは、「『自然のマガモ』と『野生化したアイガモ』とが交配して生まれた可能性がある」と推測します。

『アイガモ』は『マガモ』と『アヒル』を掛け合わせてできた鳥で、アイガモ農法では水田で除草や害虫駆除に利用されてきました。しかし一部で、その『アイガモ』が逃げるなどして野生化することが問題となっているといいます。
つまり、撮影した鳥は、マガモの種(しゅ)の中でアヒルの品種が混ざってできた「雑種のアヒル」と判断したそうです。
「人の管理下にない家畜というのは本来あるべきではないあってはいけないものなんです。彼らがそこにいることによってどんなことが起きるのかなっていうことをこの映像を見られている方それぞれが考えていただけるといいことなのかなと思います」(広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん)

専門家が指摘したのは、このほほえましい映像からは想像もしていなかった社会問題…。どんなにかわいいと思っても、増えるのを手助けするような「エサをやる」などの行為はいけないようです。
前半、癒しの映像と思ってみていたら、思いもしない展開でしたね…。もちろんかわいい様子を見るのはいいけれども、エサをやる…などはしてはいけないということですね。
畑瀬さんによると、こうした例は、福山に限らず、県内で確認されているということです。動物のことを詳しく知っているからこそ、生態系のことなどを考えた専門家の指摘…。こういったこともあるということを、心にとめておく必要があるということですね。
撮影 斉藤亘(中国放送)