裁判官「心情を思うと涙を禁じ得ない」
19日の判決で、広島地裁の 後藤有己 裁判官は、次のように指摘しました。
「被害者は生死の境をさまよい、幾重もの手術を経て命をつなぎとめただけでなく、右手を失い、被害結果は重大。当時15歳の被害者が感じた憤りや無念さは想像を超えるものがある。被害者が『事故に遭ったことで将来の具体的イメージを持つことができ、目標達成のために必死になって勉強することが、今の自分にできる精一杯のことだと思う』と述べる心情を思うと涙を禁じ得ない。凍結する高架橋上で不用意にブレーキを踏むなど運転者として果たすべき基本的な注意義務に反した」
一方で「夏タイヤを装着していたのは会社の方針であった。道路の凍結は十分予想できたといえる反面、証拠上、事故直前に初めて道路の凍結を確定的に認識したと認められる。被告人の過失はとっさに行った判断の誤りに基づくアクセル、ハンドル、ブレーキの操作にとどまる。結果の重大性に照らすと被告人を実刑に処すべきとの検察官の意見に理由がないわけではないが、過失の内容や程度に照らすと、実刑に処すのが相当な事案とまでは言い難い」としました。

そして、運転手に禁固1年10か月・執行猶予3年の判決を言い渡しました。
事故を起こす重大さをドライバーに分かってもらいたい
高校生の父親
「息子が被害にあったというのがすごくつらい。自分が身代わりになりたいくらい」

高校生の母親
「まさか我が子が交通事故にあうとは思わず、事故の怖さや重大さを感じます。右手を失った息子は、これから長い人生、重いハンディを背負って生きていかなければなりません」とやりきれない思いを語ります。

県内では6月までに10代の29人が重傷を負う交通事故が発生しています。両親は交通事故が少しでも減ることを心から願っています。
高校生の父親
「事故は本人たちの問題だけではなく家族や親戚、みんなを巻き込むことになるので(事故を起こす)重大さをドライバーには分かってもらえたら」
ハンドルを握る以上、誰もが交通事故の加害者になる可能性がある…。車に関わる全ての人が安全に対する意識を高めることが求められています。
