「塀の中での生活は1000日に…悔悟の念を抱かなった日はない。心からおわび申し上げる」

― 藤田被告への1回目の現金の趣旨は何でしたか。
「まず陣中見舞いです。それから自民党の党勢拡大…私自身の広島第三選挙区の地盤培養です。私自身、次の自分の選挙への関心はありますから。そして藤田さんは県連でも力があるので、県連会長就任にあたり、好意的な発言をいただいたので引き続き支援をいただきたいと。先輩政治家への社交、そういったことが大層を占めていました」
ー ほかにはありませんか。
「先ほども言ったように、参院選で自民党が2議席を獲得するという党の大方針を実現するために河井案里の当選を得たい気持ちが全くなかったわけではありません」
― 藤田被告への現金の供与は、案里氏の当選を得たい気持ちがあったのですね。
「はい」
― 現金を渡すときに、藤田氏に対して県連会長のことを頼んだことはありましたか。
「記憶にはありません。人様の選挙の真っ最中に私自身のことをお願いするような品のないことをしたことはありません。したがって、藤田さんの貴重な選挙中の時間を私の願い事で費やすことはしていないと思います」
― 藤田被告に2回目の現金を渡したとき、どんな話をしましたか。
「参院選について、自民党が広島で2議席を獲得することの大儀について私からお話しました」
― 藤田被告は何か言いましたか。
「案里さんは応援できないと言われたような記憶があります」
― 現金はどのタイミングで渡しましたか。
「覚えていません」
― 藤田被告はすんなり受け取りましたか。
「うーん、よく覚えていません」
― 封筒以外に藤田被告に渡したものはありますか。
「うーん、党勢拡大のための印刷物を渡したかもしれません。藤田さんに渡したかどうかは記憶はありません」

― この時期に配っていた印刷物は何ですか。
「河井案里と当時の安倍総裁の2連ポスターや案里の後援会の入会申込書、あとは自民党の機関紙、そのあたりではないかと」
― なぜ配付したんですか。
「党勢拡大のためです」
― 配付してどうしてほしかったんですか。
「党勢拡大のために後援会への入会働きかけや、自民党の支持を広げてほしい、河井案里や自民党への支持を拡大してほしいという考えです」
― 藤田被告への2回目の現金供与の趣旨は何ですか。
「1回目の趣旨と違うのは、陣中見舞いをのぞき当選祝いの趣旨で渡したということです」
― それ以外は1回目と同じ趣旨ということですね。
「はい」
― ただ、2回目の現金を渡したときに藤田被告から案里さんは支援できないと言われ、藤田被告に何を期待したんですか。
「藤田さんは広島市議会の会派を率いているので、会派の中で河井案里を応援するよう声をかけていただけるのではという期待感はありました」
― 最後にひとつ。現在服役中ですが、自分がしたことについて今、どう考えていますか。
(約30秒沈黙)
「きょうでわたくしが服役して617日目です。今月末には小菅(東京拘置所)を含めると、塀の中の生活は1000日に達します。その間、毎日のようにふるさとの風景やよく回ったいろんな行事の光景が夢に出たり、フラッシュバックのように脳裏をよぎったりします。多くのみなさまに迷惑をおかけした悔悟の念を抱かなかった日は1日たりともありません」
「こういうことで今回、3年8か月ぶりに地元に戻ってきました。山陽道から私の選挙区が一部見えました。安佐北区小河原地区の町や、安佐北スポーツセンターの屋根が見えて思わず涙が出て、ちょうど5年前の今頃、山陽道の橋脚付近の被災現場を地元の方と視察にまわったと思うと胸が熱くなりました」
「私の後援会の方だけでなく、4年前の戦いで河井案里と書いてくださった29万5871人の方々の期待を裏切り、失望を与え、心を傷つけてしまい、いまだに傷が癒えていない方がいると聞くと、私が行ってしまったことを自分の公判で述べたことと重ねて、心からお詫び申し上げたい。本当に申し訳ございませんでした」
そして、藤田被告の弁護側へ質問が移ります。