廃船が決まっている日本唯一の捕鯨母船が、最後の航海に向けて広島県尾道市を出港しました。

尾道市の因島を母港とする「日新丸」です。最後の航海を迎え、23日、セレモニーが開かれました。

日新丸は、全長がおよそ130メートル。クジラの捕獲・解体から加工や冷凍までを船内で行う日本唯一の捕鯨母船です。

1987年に建造され、30年近くに渡って調査捕鯨を続けました。2019年からは商業用として年間でおよそ1600トン・200頭ほどのニタリ鯨とイワシ鯨を捕獲しています。

日新丸 阿部敦男 船団長
「一番印象深いのは、妨害に遭って苦しい思いをしたのが、やはり一番たいへんでしたね」

反捕鯨団体による妨害 2013年当時
「まもなく当たります。接触しました」
これまでの航行中、反捕鯨団体による数多くの妨害を受けてきました。このほか、2度の火災や事故などの災難にも見舞われました。

修理・修繕を重ねてきましたが、老朽化によって廃船することになりました。

日新丸 阿部敦男 船団長
「日新丸の航海は、これが最後になるんですが、安全第一で戻ってくるというのが一番の宿命なので、全うしていこうと」
船員の家族や関係者などに見送られ、日新丸は出港しました。

漁は、房総沖や三陸沖で11月初旬まで実施されます。来年の春以降、日新丸から設備の一部を移設した、新たな捕鯨母船「関鯨丸」が役目を継承します。