青山高治 キャスター
田中さんは、日々の被爆証言の活動の中で一番大切にされていることは?

被爆者 田中稔子 さん
やはり個人ができることですね。わたしも力はないものです。ただ、被爆証言をするっていうことが、唯一のわたしのできることですね。だから、被爆証言をすることで、もしかしたら核兵器が使われなくなる世の中が少しでも近づく、その日がわたしは被爆証言をやめる日なんですね。そのやめる日が近づくために証言をしております。本当はしたくないです。

青山高治 キャスター
90か国以上ですから、本当にいろんな種をまかれている。

被爆者 田中稔子 さん
そこはちょっと申し上げたいんですけど、国名でいうと83か国、

国際ジャーナリスト モーリー・ロバートソン さん
それでもすごいわ。なんというパワーだ。

被爆者 田中稔子 さん
地域が入っています。アラスカとアメリカに行ったときに、あと台湾。

モーリー・ロバートソン さん
いや、いや。ですけどね、例えば、被爆された方というのは、たいへんな思いをされて、心のトラウマ、体の傷もありますが、トラウマもあったりしますよね。そこをおして、乗り越えてでも、ちゃんと世界に伝えていこうとするその心意気ですね、みなさんの持っている力と勇気、それが長い年月の間、連結して、今のこのサミットも実現したとわたしは見ています。

青山高治 キャスター
注目は、ウクライナのゼレンスキー大統領の広島訪問なんですが、この一報を聞いたとき、田中さんはどんなことを感じられました?

被爆者 田中稔子 さん
ゼレンスキーさんが来られると、「軍備をお願いします。みんなで戦争が、ウクライナが勝つようにがんばりましょう」っていうふうにだんだん軍拡していくような気がするんですね。でも、わたしは、もしかして広島の地にわざわざ来られたということは、希望的に裏を読むんですね。それで、もしかしたら、もう戦争はね、みんな、たくさんだと。これ以上、殺してもね、今、大きな戦闘を用意しているっていいますけど、その前に平和の方向へちょっと話を持っていこうじゃないかというようなことが、もし広島で行われたら、わたしは生きていて、一番よかったと思うことだと思いますけどね。でも、また、ここで軍拡の話が出ましたら、がっかりしますね。