被爆者 田中稔子 さん
いや、先輩のおかげです。ずっと78年間、みなさん、経験を話し続けて、わたしはもうあとから、やっと70歳で始めたんです。そのときまでトラウマがありまして。
青山高治 キャスター
そういう変化を感じてきて、ここへきて、被爆地・広島でのサミット開催ってのは本当にタイミングが大きかったですね。

被爆者 田中稔子 さん
うれしいです。タイミングも大きいですね。だから、これは岸田さんの本当に快挙だったと思うんですね。でも、これを最終的には、やはり平和の方に持っていって、やっぱりすごいね、すごい政治家だなとか言っていただけるような成果を出してほしいですね。せっかく、ここでやるんですから。
綾瀬はるかさんと考える 平和や未来

田中さんは、広島市出身の 綾瀬はるか さんと交流があります。TBS「news23」で10年以上にわたり、自身の祖母をはじめ広島・長崎の被爆者や戦争を体験した人たち60人以上の声に耳を傾けてきた綾瀬さんに、田中さんも体験を語っています。また、広島サミットをきっかけに開かれた、中高生が平和について考えるイベントにも綾瀬さんと田中さんは参加しました。
河村綾奈 キャスター
田中さんは、イベントの中で綾瀬さんの隣りに立って、若い世代のみなさんにメッセージを伝えられましたけれど、綾瀬さんの印象はいかがでしたか?
被爆者 田中稔子 さん
(綾瀬さんは)親族が広島の原爆に遭っておられるそうで、非常に平和への思いが強いんです。女優さんでちょっと珍しく、一生懸命、平和活動を推進していらっしゃる方ですね。2回、お会いしたんですけど、「田中さん、少しやせました?」って、うれしい言葉を言ってくださって、すごいですよね。「いや、500グラムやせました」って。そんなふうに気さくに一生懸命、まじめなんですね。(イベントで)わたしにはメイクさんが付いていなかったので、彼女、わたしのヘヤーを一生懸命直してくれて、ここに来て…。

最後に申し上げたんです。「女優さんとして、年を取っても社会問題に関わっていらっしゃるオードリー・ヘプバーンみたい方になってほしいな」と言ったんです。彼女、どうもまんざらでもないらしくて。わたし、オードリー・ヘプバーンの、ちょっと絵を書きますので鉛筆画をね、「これ、要る?」って言ったら、「要ります」って持って帰られました。
河村綾奈 キャスター
すごい、すっかり仲良しに。綾瀬さんのような方が、若い世代に向けて平和を発信されることってすごく大切なことですね。

被爆者 田中稔子 さん
これは大きいですね。若い方、中高生が主に集まられたんですけど、みなさん、綾瀬さんに質問したいっていう前に、原爆のことを質問したいっていう、それでわたしにすぐ質問が来たんですよ。ふつうなら女優さんに来ますよね。女優さんにももちろん来るんですけど、こういうときに若い人ってやはり原爆の問題にすごく関心を持たれてきてるなと、わたしもちょっと驚いたんですね。
青山高治 キャスター
そのあたりは瀬戸さんも感じたりされますか?
シンガーソングライター 瀬戸麻由 さん(核兵器廃絶をめざす「カクワカ広島」)そうですね。わたしたちだからこそ、できることって何だろうって、すごく考えていて、この間もサミットの中の被爆者の方の声を伝えるっていうのは、昼間にきのう起こっていたわけですけど、夜中に出てきた広島ビジョンっていう核軍縮に関する文書、その内容を見ると、あまり政府のこれまでのことと変わらないことが書かれていたりはして、すごく、そこを残念に思う部分もあるんですけど、政府の人たち、リーダーたち任せにせずに、わたしたちも1人ひとりできることって何だろうっていうのをこの間も、そのあとも考えて行動していかないとなと思っています。
河村綾奈 キャスター
カフェ「ハチドリ舎」のお客さんたちは若い世代の方も多いと思うんですけど、平和についての議論はいかがですか?
瀬戸麻由 さん
いろんな国がいろんな背景を抱えた方が来られるんですけど、やっぱり被爆者の方と直接会う中で、本当に心が動いて、涙する方もたくさんいらっしゃいますし、何か、そういう1つひとつの交流を大切に作っていきたいなと思っています。