ハマダ 開発課 小石茂樹 課長
「もともとは自動車のチェンジレバーを作っていて、ここに球体があります。医療機器では滑りをよくしないといけないので、鏡面加工をしています」
― 削り方は?
「企業秘密です。球体を作るハマダの技術は、世界に誇れる技術だと思います」

球体加工の最終工程を、「特別に」見せてもらいました。

ハマダ 小石茂樹 課長
「削るというより磨いています。毛布みたいなものに当てることによって鏡のように光るようになります。最後は人の手でやらないときれいにならない」

ハマダの 濵田忠彦 社長が、医療業界進出を決めたきっかけは、ヨーロッパの医療展示会でした。

ハマダ 濵田忠彦 社長
「人工関節が非常に多く展示されていて、球面が使われているので、これならわれわれの持っている、車で学んだ技術力で対応することができる」

最初は、試行錯誤の連続だったといいます。

ハマダ 濵田忠彦 社長
「医療部品は精度が非常に厳しいものが多くあります。ただし、要求数量は100個とか、数10個とか、多くても1000個とかになってくるので、生産性をあまり考慮しなくても精度さえ出せれば何とかなる。しかし、車はそうはいきません」

精密性が求められる医療機器と比べ、自動車部品は生産性が求められます。

ハマダ 濵田忠彦 社長
「時間あたりの出来高を上げていかないと、世界中で行っているコスト競争に負けてしまうので、ちょっとでも向上させていくことが車業界の特徴だと思っています。さらに精度の厳しい製品と生産性向上がドッキングしたら相乗効果で強みになってくる」

2019年、手術用の医療機器「クリップアプライヤ」も開発しました。

ハマダ 小石茂樹 課長
「大腸の手術で使うものなのですが、内視鏡手術で穴を開けて、トロッカー(手術用の管)から挿入して体内でクリップを置いてくるという機器になります。従来品は、違う鉗子で角度を変えていたが、ハマダが開発したものは、片手で操作ができて、角度も自由に変えられる」

この開発を進めるときに連携したのが、山口県防府市に本社のある医療機器メーカー「平和医療器械」です。

平和医療器械 下濃和夫 社長
「中国など海外のメーカーと話をすることあるが、日本でないとできないっていう技術がけっこうあって、精密な、細かいことがうまいとか、日本の会社は優れている」

平和医療器械は、1963年に創立。最先端の手術用機器やディスポーザブル製品(ガーゼなど消耗品)を製造・輸入し、全国の医療機関に販売・供給しています。

平和医療器械 下濃和夫 社長
「立場上、手術室に入る機会が多い。外科や心臓外科・婦人科・泌尿器科などの現場に入ることも多いので、現場の医師のニーズを発見して、小さいものからなんですけど、製品開発や仕入れなどを始めています」

ハマダと開発した「クリップアプライヤ」は、片手で操作できるため、手術時間の短縮、患者の負担軽減などの面で医師からも高い評価を受けています。