『包ヶ浦』って、どんな場所?

包ヶ浦自然公園の現状を訪ねました。

藤森憲也 記者
「こちらが、開発が検討されている包ヶ浦自然公園です」

宮島桟橋から東におよそ3キロ、徒歩でおよそ40分、車でも10分ほどかかります。広さは15.5haで、200メートルの砂浜からは広島市内も見渡せます。

1978年にオープンして、廿日市の子どもたちにとっては、遠足といえば、包ヶ浦と言われるほど…。夏には海水浴場やキャンプ場としてにぎわっていました。

1991年には過去最高の16万人を超える利用があり、宿泊の売り上げが1億円を超える年もありました。2016年にはリニューアルを図りましたが、2019年以降、コロナ禍に入ると1万5000人まで落ち込んでいます。年間2200万円にも上る維持管理費も財政負担となっています。

廿日市市 松本太郎 市長
「観光庁の上質な宿泊施設の開拓事業に採択され、さまざまな事業者とのマッチングの機会を設けられたのは、大きな転機になると考えています」

松本市長は、宮島を含め廿日市市全体の波及効果に期待しています。

しかし、コロナ禍で苦戦が続いた25軒が加盟する旅館組合の代表は…。

宮島グランドホテル有もと 有本隆哉 専務
「出来レースみたいな形で、もう進めることを市の方としては前提に話をされるので。われわれとしては、ちょっとあきれるしかないというのが正直。われわれ旅館組合の立場としては、これは容易に受け入れられないなというところがありました」

新たな宿泊施設の進出に、戸惑いが隠せない様子です。

宮島の対岸・宮浜温泉で宿を経営する 上野純一 代表は、宮島は、「観光地として発展する可能性あがる場所」だと言います。

庭園の宿 石亭 上野純一 代表
「(包ヶ浦は)玄関口として最も開けた場所の1つでもありますから。そこをどのようにするのか。宮島の人たちにとって、また広島、あるいはハイエンドな世界の観光地のトップの1つとして役割が担える場所になっていけるのか。本当におもしろい。扉が開いたと思いました」

会合の最後に、松本市長は、地域の理解が必要だとあらためて強調しました。

廿日市市 松本太郎 市長
「宮島は世界遺産なので、世界に対してわたしたちはしっかりと責任を果たしていかなければならない。持続可能な観光地として次世代に継承するという強い意気込みを持って、世界の責任を果たしていかなければいけないと思います」

10月からは訪問税の徴収が開始される世界遺産の島・宮島。「上質な宿泊施設」が、宮島ブランドの価値向上につながるのか? 2025年の開業を目指し、廿日市市と地元関係者による協議が始まりました。