「地域のためには…」

一方で、訪問を通じて、応対の様子や家の状況など“目に入ってしまう情報”に触れることがあります。そこに日常の不安を覚える出来事が含まれることも、まれにあります。

調査員の一人は「仕事の範囲外の話題がふと出ることがある。地域のために黙っていてよいのか、迷う」と打ち明けます。

町内会の役員として対面で書類を渡すと、事務連絡だけで終わらないことが多々あります。地域の歴史や人間関係、暮らしの困りごと――。いわゆる井戸端会議が自然と始まります。

話し手・聞き手の合意のもとに交わされる世間話自体は問題はありません。長年住んでいても、関わるコミュニティが違えば知らないことはいくらでもあります。

問題はその先。「それ、国勢調査の活動中に知った話だよね?共有していいの?」という線引きです。