校長が「学校に来させないで」と保護者に発言し、高校生だった男性が転校を余儀なくされたとして広島市に損害賠償を求めた裁判で、広島地裁は27日、市に20万円の支払いを命じました。
訴状などによりますと、原告の男性(19)は当時高校生だった2022年の7月ごろから、授業態度が悪いなどの理由で学校から継続的に指導を受けていました。同年9月に原告の母親は校長から「明日から学校に来させないでください」などと告げられていました。
その際、原告や母親との話し合いが行われず、謹慎の期限も設けられていませんでした。校長との一連のやりとりでは、適正な手続きを取っていないのにも関わらず、事実上の退学処分を受け、転校せざるを得なかったとして、広島市に約230万円の損害賠償を求めていました。
広島市側は「校長の発言は、退学処分に当たらず、自主的に欠席を促す指導として行った」と反論していました。
27日の判決で、広島地裁の光岡弘志裁判長は学校側の原告に対する対応が、謹慎の期限を設けなかったことなどから「必要な配慮が欠けていて、違法行為にあたる」と指摘。その上で「教育指導上の裁量権の範囲を逸脱する」として、広島市に対し20万円の支払いを命じました。
今回の判決について、原告の母親は「これは氷山の一角だと思う。やはり同じ思いをした方はいると思うのでそういった方に相談窓口を設けて欲しい」とし原告の男性は、「私の高校生活は取り返すことはできませんが、これを機に、学校による不適切な対応が少なくなればいいと願っています」としています。
広島市は、控訴の有無について「今後検討する」としています。