「里親」と「里子」。事情があって施設で暮らす子どもが、一時的に「里親」の家庭で一緒に暮らす家族のかたちです。記者が、ある家族が過ごす「初めての正月」に密着しました。
居間のこたつを、家族4人が囲んでいます。机の上には、高く積まれたバランスゲームの「ジェンガ」が。

「ちょっと傾いてない?それ取っても大丈夫?」
「あぁ~!崩れた!」
「勢いよく取ったねえ」
「ジェンガ」が崩れ、緊張した空気が一気に和らぎました。家族でのんびり過ごす、お正月の一幕です。

はつらつとして笑顔が印象的な母・あきこさん(59)と、
おだやかな父・ともやさん(58)、
おしゃべりが好きな祖母のけいこさん(92)。
そして小学4年生のかずまくん。
かずまくんは記者がいることに緊張しているのか口数は少なく、物静かな印象です。(全員仮名)
普段は、広島修道院で生活をしているかずまくん。施設では、時間があれば友達と野球をするなど、運動が得意で活発な様子をのぞかせます。
プロ野球・広島のカープが大好きで、選手の話になると少し口数が増えます。好きな選手は「菊池選手」で、来シーズン期待する投手は「森下投手」だと教えてくれました。

物心ついたときから広島修道院で暮らすかずまくんにとって、「家庭」での生活はなじみがありません。