髙木さんの母親は尾道出身。父親は陸軍の部隊に所属し、原爆投下後の広島で被爆者の救護にあたりました。子どもの頃から戦争や原爆を身近に感じてきました。

詩を書き始めたのは9歳のとき。以来、61年間、反戦・平和だけでなく、恋愛や虐待・いじめ防止などをテーマに詩を書き続けています。

これまでに出版した詩集は11冊。写真も髙木さんの作品です。

「原爆を忘れないように」と詩集の発行日は「8月6日」にしています。自らも父親になってからは子どもたちのために詩を書くようになったといいます。

詩人 髙木いさお さん
「子どもが毎日、笑顔で暮らせる社会を作りたいと思って詩を書いている。愛にあふれた世界で育ってほしいから。そういう世界で育った子は人を殺したり傷つけたりすることなど思いつきもしないような、優しい子に育つから」

ウクライナ侵攻やガザ地区での戦闘が長期化し、増え続ける犠牲者。広島を訪れる前、ホロコーストを経験したイスラエルに向けて新たな詩を書きました。

イスラエルの母たちへ、そして父たちへ(※一部抜粋)
(作・髙木いさお)

イスラエルの母たち、そして父たちは
即時停戦を叫ぶべきです

たった一人でも
子どもを殺してはいけないのです

詩人 髙木いさお さん
「戦争の現場では普通の優しいお父さんが、普通の優しい息子が殺し合うわけでしょう。そんなことありえないでしょう。そんなことを許すなんて」

「すみません。ぼく、平和の詩を配っている詩人の髙木いさおといいます」

1人で平和公園に立った4日間。目標の130人に詩を手渡し、たくさんの出会いもありました。

詩人 髙木いさお さん
「埼玉からいらっしゃって、こうやって偶然会えて詩を受けとってもらえて、感謝です」

埼玉県から訪れた人
「いままで広島に行ってなかったから行かなきゃと思ったのは、たぶん周りの社会情勢や世界情勢だと思います」

詩人 髙木いさお さん(大阪在住・70)
「詩というのは夢とか希望がなかったら書けないものだと思う。だから、ぼくはどこかやっぱり人間を信じているし、詩というものをどこか信じている」

「詩の力」を信じて、高木さんは「8月6日」を伝え続けます。

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自ら詩を書き、詩集の発行日を8月6日にして、自らの詩を配布する、ものすごい行動力です。広島のわたしたちも何ができるのか考えなければいけませんね。髙木さんが詩を手渡した人の中には一緒に涙ぐんだり、20分程度語り合ったりした人もいたとのこと。今だからこそ「8月6日を忘れてはいけない!」と強く思います。