検疫所や収容所があった場所は、「ユーハイム似島歓迎交流センター」に生まれ変わっています。石鍋さんたちはリニューアルセレモニーにも出席しました。
原作を書いた広島市の児童文学作家、巣山ひろみ さんも一緒です。

俳優 石鍋多加史 さん
「この似島にまいりまして、海の香り、それからこの似島の風を感じました。また新しい舞台ができるのではないかと思っています」
センターの命名権を取得したのは、神戸の「ユーハイム」。カール・ユーハイムが創業した洋菓子メーカーです。

「ユーハイム」(創業者 カール・ユーハイム) 河本英雄 社長
「われわれユーハイムの原点は本当にこの似島。ミュージカルで戦争の裏にある友情や元気をすごくもらえました」
石鍋多加史 さん
「初めてです。こんな大きいと思わなかった」

交流センターにあるクスノキ。ミュージカルにも登場します。樹齢は120年。バウムクーヘンが初めて作られた日も、ここに立っていました。
演出家 磯村純 さん
「この木がずっとね。カール・ユーハイムの時代から見守っている、島を…」

原作を書いた児童文学作家 巣山ひろみ さん
「ミュージカル関係者のみなさんがこんなに強い思いを持って来てくださるなんて。世界って広がるんだなと思って」
俳優 石鍋多加史 さん
「似島の空気いっぱい入っています。あしたでも舞台やりたいです」

石鍋さん以外にも俳優たちはそれぞれが似島を訪れ、当時のユーハイムと同じやり方でバウムクーヘンを焼き、歴史を学んできました。
次の目標は、地元・広島でミュージカルを上演することです。

ミュージカルを企画 劇団「イッツフォーリーズ」
土屋友紀子 代表兼プロデューサー
「次の世代に伝えていこうという力がやっぱり広島にはあると思っていて。東京でもこういうことを思っている人間がいて、さらにこれが全国・世界につながっていけるといいなと。やはり広島で上演したいですね」

バウムクーヘンと「軍の島」の歴史ー。ミュージカルを通じて多くの人たちに伝えたいと思っています。
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平和の象徴であるお菓子バウムクーヘンが国内で最初に販売されたのが「原爆ドーム」。この不思議なつながりを伝えたいと本が生まれ、その歴史に心動かされた東京の劇団がミュージカルにしました。平和への思いが広がっています。
ミュージカル関係者それぞれが似島を訪れ、歴史を学んでいます。より深く正確に伝えたい、演じたいという情熱が伝わってきます。劇団によりますと、ミュージカルは2025年秋から全国での巡回公演を目指しています。広島でも上演できるよう準備を進めているということです。
ことし8月にはお隣り岡山市の岡山芸術創造劇場ハレノワで開催される「子どもと舞台芸術大博覧会」で、“朗読” という形で披露することが決まっています。