サッカー九州リーグのトップを走る沖縄SV。めざすは悲願のJFL昇格、そして球団のCEO高原直泰にはもう一つ目指すものがあります。それは沖縄でのコーヒー栽培です。

沖縄SV 高原直泰CEO
「大丈夫大丈夫、根が強いから、うちの子は」

2019年、名護市の畑に初めて植えたコーヒーの苗木。3年後にはコーヒーの実がたわわに実っていました。名付けて「沖縄コーヒープロジェクト」。


高原CEO
「将来沖縄の産業、特産物にコーヒーがなるように」

スポーツチームがなぜコーヒーなのか、沖縄の課題解決につながるというのですが取材を進めると大宜味村のジャングルのような山に案内されました。

コーヒー畑は着々と広がり現在、県内11か所で6500本の苗木を育てています。中でもこの大宜味農場にはある特徴が…

Qなぜシークワーサーの木が?
沖縄SVアグリ 宮城尚代表取締役
「元々シークワーサーの畑だった。でも20年ぐらいそのまま放置されていて。」
Q辞めた理由は?
「もう年齢、高齢化で」


農業の課題の1つは「耕作放棄地」の存在です。沖縄コーヒープロジェクトは高齢化や後継者不足で放置されたままの畑を転用しその課題解決に努めています。

沖縄SVアグリ 宮城代表
「果樹をやっていた場所は基本的に土壌がコーヒーに向いていますので転用はしやすい、あとはロケーション、日陰とかが多いほうがいいかもしれないですね」

直射日光や台風、塩害に弱いコーヒー木々に囲まれた立地も苗木を守る上で効果的です。

コーヒー栽培に適したコーヒーベルトは北緯25度から南緯25度。沖縄本島は、そのギリギリのライン、およそ北緯26度に位置します。沖縄コーヒープロジェクトを支援する大手飲料メーカーのネスレはオンライン会見で沖縄でのコーヒー栽培についてこう語りました。

ネスレ日本 深谷龍彦代表
「日本の本州の人たちは1年間に一人当たり平均400杯のコーヒーを飲むんです。沖縄以外で作れる可能性が少なくて本州でたくさん消費されるものがあるんだと。仮に沖縄県で大規模にコーヒーが作れるようになったら、ものすごいビジネスになるんじゃないかと」


沖縄農業の課題解決の2つ目は、大量に消費される海外産のコーヒーに「国産」という高付加価値をつけ沖縄の新たな特産品へと育成することです。この沖縄の課題解決に向けた取り組みは食の持つ力をいかし、働きがいや経済成長を促すSDGsの目標につながっています

沖縄SVアグリ 宮城代表
「ネスレ日本が世界中のネスレの中で植えているもので沖縄の気候特性に合うであろう、いわゆるレコメンド(推薦)してもらった品種がいくつかありまして、それを中心に栽培している。非常に心強いパートナーだと思っています」

ネスレ日本 深谷代表
「沖縄に行ったら沖縄コーヒーを買って帰るのがいつか当たり前のことになったりすると、僕はきっとやってよかったと思うと思いますし、そういう日が来るのを夢見ています」

いよいよ今年冬から来年春にかけて始まる初収穫、サッカーチームでありながら地域の課題解決にも貢献したいという高原さんはその思いをこう語りました。


沖縄SV 高原CEO
「単純にスポーツを見るやるとか、それは自分たちがカテゴリーが上がっていけば自然とでてくるだろうなと、ただそれがスポーツ産業として本当に沖縄に成り立ったとことになるのっていうところで、そうじゃないだろうなと。今ある沖縄の産業にスポーツ産業を組み合わせられれば新たな価値が生まれるのかなと」

今後、沖縄SVのスタッフも従事する観光農園の整備も予定されています。スポーツという枠組みを広げ、地域に貢献する沖縄SVの取り組みはさらに広がりを見せそうです。




【記者MEMO】
この国産コーヒーの味が気になるところですが、去年わずかに取れた豆でコーヒーを入れたところ、すっきりした味わいの中に酸味とコクがしっかりあってネスレの担当者の評価も高かったそうです。沖縄コーヒープロジェクトの今後の展開が楽しみです。