日本最西端の島、沖縄県与那国島。この島には台湾をルーツにする、ほかの地域とは一線を画した泡盛が存在します。アルコール度数は60度、スピリッツ類に属するものの、唯一泡盛を名乗ることができるこの酒には、飲むこと以外に課された、島の伝統をつなぐ使命がありました。
「消毒液とか湿布薬がルーツ」与那国でのみ製造が許された酒

沖縄の酒と言えば「泡盛」。長い歴史を持つ沖縄文化の象徴のような酒ですが、その沖縄の中でも、日本最西端・与那国島でしか作れない泡盛があります。
大きな窯でじっくりと温められて、与那国島でのみ製造が許された、この貴重な泡盛とは…
崎元酒造5代目 崎元俊男代表
「この島は台湾と石垣のちょうど中間地点で、昔は船の往来が難しく、その時に医薬品の代替品として消毒液とか湿布薬とか、その辺のルーツから始まったのが花酒で」
アルコール度数は、なんと60度の泡盛。それが「花酒(はなざけ)」です。
手掛けるのは、創業96年・島最古の酒造所「崎元酒造」。

当時は農業の閑散期にあたる冬に、副業として始めたことがきっかけでしたが、島の酒を残そうと崎元初さんが本格的に独立して4代目に。現在は息子の俊男さんが5代目となり、親子3人で味を守っています。
沖縄の本土復帰前は「スピリッツ」として製造されていた花酒ですが、当時の日本の法律では45度を超える酒の製造は認められておらず、本土復帰に伴い、その製造が危ぶまれました。

しかし飲む酒ではなく文化として島に根付いてきた背景から、特別に製造が許されたと言います。