那覇市議会の久高友弘前議長が実態のない内容を政務活動費として申請し、少なくとも100万円を市から不正に受け取った疑いがあるとして、警察による家宅捜索を受けていたことが分かりました。
警察によりますと、那覇市議会の久高友弘前議長は人件費など、実態のない内容を経費として計上し、那覇市から少なくとも100万円を不正に受け取っていた詐欺の疑いがもたれています。

久高前議長をめぐっては、市が所有する土地の売買取りまとめを期待した男性から議長室であわせて現金5000万円を受け取った疑惑が浮上し、ことし3月に議長を辞任しています。
捜査関係者によりますとこの疑惑をめぐる捜査の過程で、今回の詐欺事件の疑いが浮上したということで、警察は5日に久高前議長の自宅を家宅捜索し関係書類や携帯電話などを押収しました。

また、警察はほかにも久高前議長とともに議長室で現金5000万円を受け取ったとされる、那覇市の土地の所有を訴える女性の後見人の自宅にも家宅捜索に入っていて、引き続き贈収賄の疑いも視野に調べを進めています。
一方、一連の問題の発端となった現金5千万円を久高氏に渡した男性は取材に対し、「早く捜査が進んでほしい。久高氏がパクられるまで死ねない」と話しました。
この久高前議長をめぐる疑惑の目が向けられる発端となったのは、議長室での「現金授受問題」でした。
どんな問題だったのか、振り返ります。

おととし、当時那覇市議会の議長を務めていた久高氏と、那覇市の水道局がある土地などの所有を訴えている女性の後見人の2人は、その土地の売買に関する取りまとめを期待する男性から数回にわたり、合わせて現金5000万円を議長室で受け取ったとされています。
この問題について、土地の取りまとめを期待して現金を渡したと主張する男性は、賄賂を渡したとの認識を語っていますが、一方、久高氏は議長室での現金のやり取りは認めたものの、金を受け取ったのは後見人だとして自身は受け取っていないと“潔白”を主張しています。
しかしこの現金のやりとりには領収書が存在しています。

現金を渡したと主張する男性が保管するこの領収書には「土地売買取りまとめに係る費用」と但し書きがあり、「久高友弘」と前議長の名前も署名されていますが、久高氏は、身に覚えのない金銭の授受に関する領収書にサインさせられたと話しています。
久高友弘前議長(ことし7月の会見)
「天地神明に誓って私は受け取っておりません。久高友弘に渡したという領収書を作って、500万の金があたかも私が使ったかのような、策略をしてこれができたんです」
政務活動費の不正受給の疑惑は、議長室でやり取りされた5000万円の捜査の過程で浮上したということですが、政務活動費は税金が原資です。
久高氏が議長の立場で、少なくとも100万円以上を不正に受給したとすれば深刻な問題で、市議会議員のあいだでは、捜査の進展次第では議員辞職勧告が議論される可能性が高いとの見方が広がっています。