SDGsについて考える『つなごう沖縄』。 大雨が降ると、農地などから流出する 赤土の問題。 問題が認識されはじめて以降、 建設など開発現場からの流出は減った一方、 農地からの流出は、ここ20年あまりで 30%の削減に止まっていると言われています。
赤土対策にかかる労力・コストに比べ、 農家のメリットが少ないことが 背景にあるとされるなか、 農家にもメリットがある新たな対策法を 取材しました。

NPOおきなわグリーンネットワーク 西原隆 理事長
「こんな感じで真っ赤になって、ここにいるサン ゴや生き物たちは、元気がなくなって死滅したり する。サンゴがいなくなると魚たちもいなくなる」

大雨の度に発生する赤土から 沖縄の海を守ろうと、農地の対策に取り組む NPO法人、おきなわグリーンネットワークの 西原隆さん。 自作のジオラマで、赤土流出対策の大切さを 子どもたちに教えるなど環境教育に力を入れて います。

NPOおきなわグリーンネットワーク 西原隆 理事長
「対策すると全然違うじゃないですか?こんな 感じ」
「これ海だとしたら、この海(赤土が多い海)とこ の海(少ない海)どっちがいい?」
沖縄県は、 1時間雨量50ミリ以上の雨が降る頻度が 全国平均の3倍。 土壌流出が起きやすい気候と言えます。
土壌の養分が失われれば 農地の生産力も落ちるため、 赤土の流出問題は農家にとっても問題です。 私たちは先月、 そんな課題の解決に一役買うかもしれない、あ るものを八重瀬町の畑で見つけました。
畑の上に…大きなプランター?のようなものが 並んでいます。試験的に導入した農家の 比嘉竜二さんの畑です。


グリーンファームHIGA・比嘉 竜二さん
「大雨が降った時でも土が流れない、囲われて るので」

NPOおきなわグリーンネットワーク 西原隆 理事長
「これは『ベジィベッド』という糸満市のプレキャ ストという企業が開発したもので、実際に農家 さんが本格的に使うのは初めてなんですね」
コンクリート製の枠で作物の周囲を覆い、 65㎝、 大人のひざ上ほどの高さに作物を植える、 『ベジィベッド』。 通常赤土対策といえば、農地の周りに植物を 植えて流出を防ぐ、「グリーンベルト」が 一般的ですが、 「ベジィベッド」は作物の周りを囲います。また 植え付ける位置が高いのも特徴です。

グリーンファームHIGA 比嘉 竜二さん
「通常地面にあるので屈まないといけない、お ばあちゃん・おじいちゃんが腰曲がるんですけ ど、これだと多少楽かなと思います」

グリーンベルトの植栽は、赤土流出を防ぐ 反面、作付け面積を狭める場合もあり、 農家が積極的になれない面がありました。 その点、『べジィベッド』は、 土の流出を防ぐだけでなく、 台風対策や収穫まで、様々な場面で しゃがみ込んでいた作業が 楽になるといいます。

NPOおきなわグリーンネットワーク 西原隆 理事長
「作業の効率化と土壌保全がリンクすれば、農 家さんのメリットも出てくるので、土壌保全型農 業が普及していくんじゃないかなと」

畑を大きなプランターにする発想が、 農家に赤土対策に取り組むメリットを与えるこ の取り組みは、海と陸の豊かさを守ろう というSDGsの目標につながります。 別の好循環も生まれています。 実はこの日植え付けの作業をしていたのは、 就労継続支援B型事業所 「ジョブサポートなは」の利用者たち。

ジョブサポートなは 城間樹さん
「今までは、ホテルのベッドメイクだったりとか、 施設の清掃だったりとか。そういう観光に関係 したお仕事がどんどんなくなってきた」

新型コロナの流行で激減した 観光関連の仕事から、 自分たちの感染対策も可能な新たな仕事を 求めてたどり着いたのが、農業でした。

ジョブサポートなは 城間樹さん
「外に出て、みんなで汗流して、力仕事を楽しそ うにやっている皆さんを見て、この方面に、農業 をやってみようということ」

収穫した野菜の選別から袋づめまで、 利用者が担う仕事は週に5日あり、 重要な役割を果たしています。 作業をしやすくした農業と福祉の コラボレーション、「農福連携」は 「すべての人に健康と福祉を」 「働きがいも経済成長も」という SDGsの目標につながっています。

NPOおきなわグリーンネットワーク 西原隆 理事長
「付加価値の高いものを作りたい。イチゴがい いという話もあるし、私は島らっきょうもいいと 思う。農家と二人三脚で色々と構築していきた い」

海にも畑にも、人にも優しい、農家が取り組みたくなる赤土対策の普及へ。 挑戦は始まったばかりです。