子につけた名前

Aが逮捕された後、交際相手の男性は、亡くなった子どもに名前をつけていた。判決が出る前、保釈されていたAと二人で、線香をあげたという。

Aの服役中も、Aの家族とともに、残された上の子の成長を見守るつもりだ。

<取材後記>

筆者には違和感があった。この事件で問われるべき問題は、別のところ「にも」あるような気がした。

判決では「出産やその後の育児等の問題に向き合うのを先延ばしにしてしまった」とも述べられた。

しかしAには、堕胎を求められたり、認知を拒否されたりした過去があった。本来なら当時Aを支え、責任を分かち合っているべきだった男たちは、裁判の手続き上はただの「背景」であり、何を問われることもなかった。これは不公平ではないか、という気持ちが拭えなかった。

判決を出した後裁判長は、罪を償い、帰りを待つ子どもたちと一緒に穏やかな生活を過ごしてほしい、とAに語りかけた。筆者も同じ思いだ。(取材 山城健太)

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【この記事の前編】 自宅の庭で出産、直後に我が子を胸にうずめ… 殺人罪に問われた母親「A」の裁判で問われたもの【傍聴記・前編】