硬い岩と柔らかい岩の間に、厚さ1センチもない「すべり層」

(図解)プレート境界断層の実態

断層を境にして、上側には「前縁プリズム」と呼ばれる硬くて密度の高い泥岩が、下側には太平洋の遠い海で積もった柔らかい「遠洋性粘土」などが位置していました。つまり、性質が全く異なる「硬い岩」と「柔らかい岩」、物理特性に差がある物質同士が、断層を境に強く押し合っていたのです。

硬さの違う岩石同士が地下深くで擦れ合う物理的なミスマッチによって、その境界部分には、岩石が粉々に砕かれた「断層ガウジ」と呼ばれる層が形成されました。「断層ガウジ」は、採取されたサンプルの写真の中で、厚さ1センチにも満たない真っ黒な筋として映っています。これこそが、微細な粘土鉱物が濃縮された「すべり層」だったのです。