「有事」を前提にした防衛力強化への動きが活発化が目立つ1年となった沖縄。一方で本土復帰50年を迎えた節目の年でもありました。

50年前の沖縄県発足式典で当時の屋良知事は、復帰への喜びとともに“国土防衛”の名の下に、先の大戦で犠牲となった戦没者を悼みました。


屋良朝苗元知事
「たとえ“国土防衛”のためとはいえ、さる大戦において尊い生命を散らし、志を果たせなったた多くの戦没者の方々のことに思いを馳せるとき、万感胸を塞ぎ、痛惜の念を抑えることができません」

戦没者への慈しみの思いや、復帰を迎えても米軍基地が残るもどかしさや憤りを抱えたまま迎えた復帰の日には、会場の外で抗議集会が行われるなど、戦争や基地に対する沖縄の人々の複雑な思いが表れていました。

基地との歴史を歩んできた沖縄。いまの現状はー

與那嶺キャスター
「アメリカ軍北部訓練場です。現在多くの負傷者が出たことを想定した医療の訓練が行われています。」

読谷村とほぼ同じおよそ36平方キロメートルにものぼる広大な敷地では、近年、有事の際に、小規模部隊を分散して攻撃拠点をつくる「遠征前方基地作戦」=EABO(イーエービーオー)の一環で、沿岸部での上陸訓練が増えているといいます。

特にことしは「有事」を前提に防衛力強化の動きが目立った1年でした。その緊張を高めたのが中国の脅威です。

8月、アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に激しく反発した中国軍の弾頭ミサイルが与那国島や波照間島近くに落下。与那国島の漁協は、一時、漁の自粛を余儀なくされました。

与那国島の漁師
「漁師が丘に上がったって干からびたかっぱみたいになっちゃってもう頭来る」


11月、全国各地で展開された自衛隊とアメリカ軍による大規模な共同演習。与那国島では、自衛隊の機動戦闘車が公道を走る県内で初めての訓練が実施されました。

「訓練!訓練!ミサイルが発射された模様です」

与那国の住民は県内初となる弾道ミサイルを想定した初動対応訓練も行われるなど、有事の際の住民避難について町の担当者の思いは複雑です。

与那国町役場総務課 田島政之さん
「訓練やったら刺激して逆に(ミサイルを)飛ばすんじゃないかとか、色んな声を聞きながら進めないといけないという難しさもありはするんですけどね…」