
最後は伊集さんが選んだある一族の「家譜」。王府に仕えた記録も不祥事も、包み隠さず記されています。注目するのは、首里城の正殿に勤めていた3代目・守承(しゅしょう)さんに関する記述です。

▼伊集守道 学芸員
「身分不相応の褒美、領地をもらったことで、大喜びして。領地をもらった直後に、首里城で宴会を友人と開いたことが書かれている。そこで酔っ払ってしまって、首里城の番を勤めきれなかった。それで結局、領地を与えられたすぐ直後に、またその領地を没収されてしまう、と書かれていて」
喜びから一転、失墜した守承さん。実は…伊集学芸員のご先祖様なんです。
「その後結局、この一族は領地をその後は与えられることがないので、やっぱりこのときのちょっと失敗が後々引きずってるのかなっていうのもすごく面白いです、記事としては」

――伊集さんはお酒の失敗はある?
「お酒はやっぱり好きですね。私や父もみんな好きで…。失敗というか、私は酒を飲みすぎると寝ちゃうので、先祖のようにならないよう努めたいと思うんすけど…」
史料の一つひとつに宿る、先人たちの息遣い。那覇市歴史博物館を訪ねると、歴史的価値もさることながら…秘められた物語の豊かさに出会いました。
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閉館する那覇市歴史博物館の収蔵品は、来年11月以降に首里城のそばに整備される新しい展示施設に収蔵品もお引越しします。
そして、ご先祖さまがやらかしてしまった伊集学芸員は、新しい首里の展示施設で
働いた場合、一族としては1674年以来、約350年ぶりの首里城での “お勤め” になるということです!