沖縄の石垣島と西表島のみに、約200羽しか生息していないとされる国の特別天然記念物「カンムリワシ」の幼鳥1羽が12日、石垣市内で死んでいるのが見つかった。
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石垣市内で野生動物の診療にあたっている獣医師、土城勝彦さんによると、幼鳥は12日、石垣市のバンナ公園近くの歩道上で見つかり、すでに死んでいた。事故にあった可能性は低く、飢えによる衰弱死であると判断できるという。
RBCの取材班は今月8日、この個体が公園内でバッタやイモリなどを捕食したり獲物を探したりしている様子を確認していた。
去年産まれたとみられるこの個体は、適正体重が800グラムなのに対し、その半分ほどの430グラムしかなく、非常に痩せていたという。

▼たまよせ動物病院土城勝彦獣医師
「かなりきつそうな表情をしていました。鳥の中には、あまりガブガブと水を飲まないタイプがいて、そのような鳥たちは、食べ物から水分を摂っているため、食べなくなると脱水を起こします」
「今回の子も、目が落ち窪み、必死の表情で立っている様子が見られたので危ないなと思っていました」
カンムリワシは環境省のレッドリストに、もっとも絶滅の恐れが高い「絶滅危惧IA類」として掲載されている。
石垣島では今年に入り、カンムリワシの食糧事情が悪化し、餓死や衰弱して保護されるケースが目立っていているという。
カンムリワシの推計生息数約200羽は、国指定天然記念物のヤンバルクイナの約1700羽(2021年の推計)と比べても際立って少ない。
