『他よりも穂一つ高き薄かな』
『秋草や叩けば土管の鳴りにけり』

6月に福岡県で行われた地方大会で、101チーム中32チームに勝ち残り、九州沖縄ブロックの代表として全国大会の切符を手にした興南高校俳句部。

部員らのディベイト
「馬を千頭って言い方なんですけど、馬千頭引き連れてていう言い方のほうが並び的に語順の響きてきにも良いかなと思うんですけどもどうでししょうか。」

「馬千頭ってなんか間が悪いですよね。馬を千頭っておくことによって、馬を千頭引き連れているんだっていう馬っていうのがより強調されて、この句っていうのは馬じゃないとダメ、馬を千頭っていうのがリアル味をおびていて良いのかなと思うので、“馬を”がちゃんと必要かなと思います。」

コロナ禍で部員数が減り、去年、再スタートを切った興南高校俳句部。ほとんどのメンバーが俳句を始めて1年余りで、全員が全国大会初出場です。経験が浅いなか、地方大会を勝ち抜いた大きな要因は、たくさん作ってたくさん捨てる「多作多捨」です

俳句部顧問 安里恒佑さん
「立秋過ぎているので秋ですけども、夏の季語も使って良いことにしますので、ここ散策しながら作ってください。」

自然豊かな場所に出かけ、散策しながら即興で句を作っていく“吟行”。興南高校俳句部は、この吟行に力を入れています。これまで作った句は、1人およそ500句、たくさん作り推敲を重ねたことで、良い句が完成し、地方大会でも句の出来を評価されました。

速水彩華さん
「やっぱり部屋に引きこもって俳句を作るよりは自然に目を向けてやった方が
 自分的にも多く作れるようになったかなと思いました」

平安莉久部長
「あの電柱みたいなのに張り紙があったんですけど、張り紙とかもなんか、日常観があって良いかなって思いました」

部長の平安莉久さん(ひらやす・りく)を中心に、多種多様な俳句が次々に出来上がります。
彼のスマホには、びっしりと俳句に使えそうな言葉がメモされていました。

『赤蜻蛉張り紙の字の丸くあり』

ディベイトのやりとり
「大朝寝じゃなくて、春眠の方があっている感じがするのですがどうでしょうか」

大会の審査では、提出した俳句の作品点はもちろん、句をしっかりと読む力、鑑賞点も評価されます。いかに対戦相手と建設的なディベイトができるかがポイントで、チームの課題であるディベイト力を高めるため、本番さながらに、練習を繰り返します。

俳句部顧問 安里恒佑さん
「相手の句がパって出たときに自分たちがどういう風に詠むのか、どういう風に相手の句を魅力的に詠んで、且つどういう風に建設的なアドバイスというか、お互いの意見を重ねていくのかっていう最初の部分、相手の句を読むっていうところを彼らはけっこう地方大会の後に課題だと、自発的に努めて練習してきたところもあるので、そこをちょっとうまく全国へ向けて最終調整できたらなと思っています。」

平安莉久部長
「野球部も興南高校甲子園行っていたので、そういう意味でも良い刺激になりましたし、頑張りたいなと思っています。自分も俳句部に入るまでは俳句甲子園があるの分からなかったので、そういう意味でも俳句を広めるためにも頑張りたいなと思います。」

17音に思いをのせて、興南高校俳句部の甲子園での戦いが幕を開けます。

「俳句甲子園、優勝目指して、頑張るぞ、おー!!」