「戻ってきていいんですか?」「石けん事業」立ち上げにつながった一言
出社すると、崎浜さんが仕切って朝礼が始まった。
▽崎浜有佐さん
「きょう、2月の目標達成率、「ためになるをしたで賞」の表彰をしたいと思います」
盛り上げ上手でしっかり者の崎浜さん。入社後半年で責任者に抜擢され、これまで走り続けてきた。崎浜さんは、2人の子どもを育てるシングルマザーだ。
従業員のおよそ9割が女性のコーカス。崎浜さんのように出産を経て職場復帰する人も多く、仕事と育児に奮闘する崎浜さんは、社のユニークな制度に支えられていた。
「首里石鹸」誕生のきっかけは、かつて、ある従業員が産休に入る前、緒方社長に告げたひと言だった。
▽緒方教介社長(52)
「僕にポロっと「戻ってきていいんですか?」って言ったんですよ、それも産休入る1週間前くらいかな、それか数日前だったと思うんですけど―」
キャリアチェンジに挑む人もー
職場復帰に不安を抱える従業員に ”働き方の選択肢を” と立ち上げたのが、物販事業の「首里石鹸」だった。ここで新たな道を切り開いた人もいる。那覇市内の店舗で店長を務める、座安よしみさん(54)はその1人だ。
(接客風景)
▽お客さん 「入院の時って吐き気とかが大変だって言っているんです」
▽座安よしみさん 「抗がん剤ですね…」
会話をしながら、客に寄り添う座安さん。
▽座安よしみさん
「(コールセンターではなく)対面だと、目の動きだったりとかで、聞いてくれている、聞いてくれていないとか、喜んでいるっていうのが全部分かるじゃないですか。「よかった」って言われたら一番うれしいですよね」
元々、コールセンター部門に勤務していた座安さん。しかし、電話を介したクレーム対応に精神的な負担を感じ、「首里石鹸」に異動した。50代を目前にしたキャリアチェンジだった。
▽座安よしみさん
「(以前は)よく怖いって言われていましたね」
▽首里石鹸 課長 松尾大樹さん
「つい最近、あるスタッフが「座安さんが変わった」と。「前は首里石鹸のボスだったけど、今は母になった」っていう表現をしていた」
首里石鹸に勤務して6年あまりとなる座安さん。
▽座安よしみさん
「すみません…ちょっとそういうのもありましたけど」
今は店長として日々奔走する彼女は、ある葛藤を抱えていたー
(取材後記)
6月1日朝6時放送の「日本のチカラ」では、首里石鹼で働く女性たちが不安や葛藤を抱えながら、それぞれの道を前向きに歩む姿を描きます。子育てをしながら働く人、40代でキャリアチェンジした人、そして、そうした従業員を抱える中小企業にとって共感できる部分があるのではないかと感じています。ぜひ、放送で全編をご覧ください。(取材:RBC「NEWS Link」キャスター 與那嶺啓)