2022年の夏は史上最も早く梅雨が明け、連日の猛暑が続いています。その影響は農業にも出始め、生産者が対応に苦慮しています。

大分県竹田市久住町にある牛舎。ここでは100頭以上の牛が飼育されています。就農して7年目の志賀拓馬さんは「今年は異常事態が起きている」と話します。


(はみんぐ・まむ 志賀拓馬さん)「今年は暑くなるのが早かったんで、暑さで体調崩す牛が結構多い。牛が出してくれる牛乳の量も減ってしまって、ものすごく大変です」

大分県は統計史上初めて6月中の梅雨明けとなりました。その後も連日35度を超える猛暑日を観測するなど、厳しい暑さが続いています。

牛舎では暑さ対策として40台の扇風機を稼働させているのに加え、細かい霧を噴射する「ミスト装置」を導入しています。

北ヨーロッパが原産のホルスタイン種は特に暑さが弱点。対策を講じても夏は搾乳量が1割ほど落ちると言います。

(志賀拓馬さん)「例年だと梅雨明けした後、8月の始めくらいから1頭当たりの乳量が下がっていくが、今年は7月に入って乳量が下がっていった。(収入的にも)ものすごく痛い」


1か月早い搾乳量の減少に加え、さらに追い打ちをかけているのが飼料代です。

(志賀拓馬さん)「これは弊社が購入している牧草。海外から輸入しているが、ものすごく値段が上がっていて、これも酪農家の経営を悩ます種になっている」

牛のエサ代です。新型コロナとウクライナ侵攻の影響で、牧草や大豆がコロナ禍前から4割以上高騰しています。


一部は自家栽培でまかなっていますが、この状況が続けば到底太刀打ちできないと話します。

(志賀拓馬さん)「現実的に酪農をやめた方がいいと考えている人もいると思う。何年も続いたらこれが持つのかという恐ろしさはある。少しでも牛乳を手に取って飲んでもらうのが一番の支援になる」

猛暑の影響は農作物にも出ています。

(育葉産業・栗田洋蔵社長)「葉っぱが枯れている。急激に気温が高くなって日差しが強いと葉っぱが煮えたような感じになっている」


豊後大野市の育葉産業では、0.75ヘクタールのハウスに「ミツバ」を水耕栽培しています。

梅雨明け後に猛暑とくもり空が続いたことで、一部のミツバには葉が茶色く変色する”高温障害”が発生していました。

さらにミツバは夏になると…

(栗田洋蔵社長)「適期に比べると圧倒的に茎が細い。しかも、伸びきれない小さな葉がたくさん出てくる」

この現象は毎年発生し、生産量に影響を及ぼしますが、2022年は例年より10日ほど早かったといいます。