参議院選挙は7月10日に投票が行われます。今回の国政選挙をはじめ、地方選挙で課題として指摘されるのが若い世代の投票率の低下です。

「政治への関心が薄れているあらわれ」だけなのか。大分市で聞いた若者のリアルな思いとともにその背景と改善のヒントを探ります。

若い世代の「投票率の低下」に歯止めをかけようと、OBSでは若い世代を中心に参院選の投票を呼び掛ける動画を制作し、発信しています。

過去の参院選では20代の低さが目立ちます。また、選挙権が引き下げられた6年前、10代は30代を上回ったものの、次の選挙では一気に下がりました。


今回の参院選、若者の意識を街頭で聞きました。

(大分市街頭・選挙権のある若者)「投票します」「僕は行かないです。理由としては投票しても変わらない」「誰がいて誰が何をしようとしているのかが分からない」「仕事が忙しくてなかなか行けないんで、行けたら行こうかと考えている」

「公益財団法人 明るい選挙推進協会」が18歳から29歳を対象に実施したアンケート結果があります。

「政治のことがわからないものは投票しない方がいい」の問いに、65%が「そうは思わない」と回答。投票への積極的な志向性がみてとれる一方で…

「自分に政府のすることを左右する力はない」。この問いかけを7割近くが認め、若者の抱く「政治的無力感」がうかがえる結果になっています。


長く選挙の啓発に携わる大分大学の山崎清男名誉教授は、次のように指摘します。

(大分大学・山崎清男名誉教授)「政治的関心というのを養うためには、若い世代に小さい時から家庭学校を通して様々な場面で自己決定をさせることがとても必要です」


「イブニングプラス」では公示前、別府市のAPU=立命館アジア太平洋大学で、北欧からの留学生などに日本の若者の政治意識について取材しました。

その北欧の中でも、国会議員選挙での若者の投票率が85%に上るのがスウェーデンです。

その背景について、スウェーデンの政治に詳しい、龍谷大学法学部の渡辺博明教授は、「幼少期からの教育」を挙げます。

(龍谷大学 法学部・渡辺博明教授)「民主主義の作法を身につけるということは社会全体でかなり小さいときから、幼少のときから徹底している気がします。スウェーデンはとにかく自立という価値観が重視されます。多分、自分の意見を持つとか、何かについて考えるということは、日本人よりはその社会の中で生きていると育っていくと思います」


また、渡辺教授は、社会全体で若者と政治との距離を縮める必要性を強調します。

(渡辺教授)「日本は若者を政治から遠ざけすぎた。若者の側も政治を特別視したり、逆に距離の取り方がわからないと妙に否定したり、いろんな人がいる。自分たちが生活している社会のルールを作っているのも政治。そこに本当の社会の一員としてかかわることが大事です」

選挙に関してもうひとつ街で聞きました。あなたが考える争点はなんですか?

(大分市街頭・有権者)「やっぱり物価対策ですかね」「コロナは大事だと思うが、子育て支援とか」「せっかく権利ももらっているから行ったら自分がいいなと思うところに入れたらいいなと思っている」


選挙権年齢が引き下げられて3回目の参院選。未来を担う世代が一人でも多く一票を投じることが望まれます。