逃げてきた野球、湧き上がる後悔

野球と再会したのは、大学院に入学した2020年の夏。コロナ禍のオンライン授業続きでふさぎ込みそうになる中、草野球の助っ人に呼ばれた。

「僕がぼってぼてのヒットを打っただけで、見ず知らずの大人が両手を挙げて喜んでくれたんです。ああ、野球って楽しいんだなって思い出しました」

「おっちゃんが本当に元気で」と振り返る(2020年)

月に一回は試合に出るようになり、素振りや筋トレを再開するとみるみる腕が戻ってきた。一日何百スイングとしていた高校時代を思い出し、杉山の胸にある思いが湧き上がるようになった。

「あんな形で野球と縁を切ったままにしておくのは嫌だな」

司法試験浪人中に一念発起、ひとり静かにトレーニングを始めた。

神戸大学法科大学院を卒業(2022年)

浪人期間の1年は勉強と筋トレに没頭し、体重も68キロから80キロ台に増やした。「体を大きくしないと打てないと思って。もうペンとダンベルしか握ってなかったですね」あっさりと話す杉山の体は恵まれた天性ものではなく、分厚く積み重なった努力の結晶である。