「痛みと恐怖で引きつった表情」遺体との対面

山名さんが事件を知ったのは、当日の夕方だった。当時、滋賀県の自宅にいたところ、宇佐署から電話が入った。

山名賢司さん(この記事の写真をみる)

「第一声は『驚かないで聞いてください』でした」家族と一緒にいた山名さんは、妻と子どもたちに「静かにしといて」と伝え、電話に集中した。

警察から告げられたのは、母と兄が殺害されたという衝撃的な知らせだった。すぐに仕事を休み、翌日には大分へ向かった。

最もつらかったのは、遺体との対面だったという。

左)母・高子さん 右)兄・博之さん(この記事の写真をみる)

「宇佐署で遺体確認をした際、顔中が傷だらけで、痛みと恐怖で引きつった表情がそのまま固まっていました」

その表情を見た瞬間、母と兄が感じたであろう痛みと恐怖が自分自身に乗り移ったかのような感覚に陥ったと振り返る。

「それは多分、忘れられないですね」