全国的に問題となっている「教員不足」。大分県内でも今年度当初、小・中学校、高校あわせて53人の欠員が生じました。学校現場への影響と教員確保に向けた取り組みを取材しました。
全校児童およそ600人の別府市立朝日小学校。教職員の定数は満たしていますが、毎日教員の配置は綱渡りの状態。この日は昼前から学校を離れる担任に替わって何とか別の先生を配置しました。
(教務主任・山本八重教諭)「この間、4人出張の時があったんですが、その時はてんやわんやで大変でした。人が足りないときは2つの教室を1人の先生でみる。例えばテストだったらそれが割と可能なので」
県教委によりますと、今年度当初の教員の欠員数は53人。免許保有者の掘り起こしを続けていますが、産休や病気等による欠員も出るため、不足が常態化しています。
(県教委 教育人事課・築城幸司主幹)「欠員補充についてはこちらとしても非常に危機感を持っていまして、非常勤講師が何校か兼務してどうにか人員を埋めようというような弾力的な運用をしています。募集しているが、集まっていない状況です」
今年度初めて実施された高校生対象の教員育成ガイダンス。県教委の担当者が仕事観や年収などの待遇面も含め教職の魅力を訴えました。
大分鶴崎高校では20人あまりの生徒が参加し、仕事の実態に耳を傾けました。
(生徒)「教員という実際の目線で役割をしっかり聴くことができたので、やる気や向上心が上がったと思います」「教員は一番やりがいのある仕事だと思い、目指すにあたり、自信を持てるようになりました」
大量退職期を迎え今年度の教員採用試験の採用予定者数は、平成以降最多規模の540人。倍率は2.6倍と1989年度以降最低になり、合格者数が採用予定者数に届きませんでした。働きながら教員をめざす臨時講師が毎年合格していくため、受験者数は減少しています。
(県教委 教育人事課・田所伸主幹)「大量の採用予定者数を立てているので、それに合う人数がなかなか確保できていない。生徒の成長を見て一生付き合っていく教師の魅力を受験する方、受験を考えている方に伝えていきたい」
別府市立朝日小学校。この時間、5年生のクラスでは担任が入れ替わり、授業をします。5、6年生を対象に教科担任制を実施していて、学級担任が学年全体の専門教科の授業を担当します。指導の充実とともに授業準備の負担軽減につながるといいます。
(別府市立朝日小学校・勝河馨校長)「(教科担任制は)得意なところをきちっと力を入れて、子どもたちに提供していきたい。そういった面では非常に効率的。ICTを使う特別支援教育の業務が膨大になっています。マンパワーが限られているので、1人が背負うものが非常に多くなっていることは間違いない」
一方、教職へのハードルをあげていると考えられる保護者対応や、長時間労働について大分大学の熊丸准教授は次のように話します。
(大分大学・熊丸真太郎 准教授)「保護者への対応に不安を感じている学生は一定数います。リアリティショックという言葉を使うこともありますが、やはり現実に直面してショックを感じるわけですね。そのショックを感じないように教員になる前に経験を積み重ねていくか、どうやって現状を知ってもらうかが課題としてあると思います」