大きな爪痕を残した台風14号から半月余り…。農家では新たな被害も判明するなど実りの秋に大きな打撃を受けています。
大分県内でも屈指のコメの産地、玖珠町。田んぼでは建設機械などによる土砂の撤去や整地作業が続いています。町内にある戸畑地区ではおととしの7月豪雨で、地区にある玖珠川の堤防がおよそ400メートルに渡って決壊し、20ヘクタールの田んぼに濁流が押し寄せました。豪雨から2年以上が経った今も復旧工事が進められています。

(石井龍文さん)「収穫前で穂が重たくなっているのでどうしても倒れやすい」
この地区で長年にわたりコメを育てている石井龍文さんは今年、豪雨被害から初めて復旧した50アールの田んぼに水を張り、3年ぶりの収穫を迎えようとしていました。しかし、先月、県内を襲った台風14号の強風により3分の1近くの稲が根元からなぎ倒されました。

(石井龍文さん)「台風が来てほしくなく不安がいっぱいあったけど、来るのはしょうがない。自然相手の農業なので致し方ない、受け入れざるを得ないんで春に植えた稲の成長が楽しみで一喜一憂です」
倒れた稲のうち約8割が収穫できるものの、生育不良で等級が下がるといいいます。おととしの豪雨、そして今年また台風の被害に見舞われましたが、この場所でコメをつくりたい思いは今後も変わらないと話します。
(石井龍文さん)「収穫できることがありがたいので、また来年に向けていいコメを作りたいという意欲が沸く。消費者が喜ぶ顔をみるのが一番」
大分県によりますと、台風14号による農業関係の被害額は先月末までに9億1700万円余りに上り、農地や栽培施設など2736か所が被災しました。

(大野梨園・大野邦雄代表)「およそ30年の経験の中で一番、大きい台風だったと感じています。風や雨がひどかった」
一方、由布市庄内町の2.4ヘクタールの畑で13種類のナシを栽培する大野梨園。収穫直前の新高や王秋などのナシがおよそ400キロも落下しました。さらに今月に入り、落ちなかったナシにも被害が次々と判明。

(大野梨園・大野邦雄代表)「こんなのが規格外です。落ちた以上に実っているのも傷ついて販売できないナシがあってショックだった」

強風により実が枝や棚のワイヤーにあたって表面に傷がつき、出荷できなくなったナシが新たにおよそ200キロにものぼり今後、さらに増える見通しです。
(大野梨園・大野邦雄代表)「残っているナシもあってこれからも収穫して販売していかないといけないのでこれ以上、大きな台風が来ないのを祈るだけ」

台風14号の影響で大きな打撃を受けた県内の農業。台風シーズンの中まだ不安な日々が続きます。