■無駄になっていないと信じている…両親の誓い
一方、この事故をめぐる住民訴訟では熱中症に苦しむ剣太さんに暴行を繰り返した元顧問の重過失を認定。国家賠償法で守られた公務員にも求償権という形で個人責任を負担させる、異例の判決を勝ち取りました。

日本大学危機管理学部・鈴木秀洋准教授:
「行政法の学者や実務の人間からしても、この訴訟で勝てるはずがないと誰もが思っていた。この判決が出たからびっくりして歴史が変わったと思っています」
行政法務に詳しい日本大学の鈴木秀洋准教授は「形骸化していた求償権に風穴を開ける歴史的な判決」と分析。全国の自治体でも実際に求償権を行使するケースや公務員の個人責任について研修する機会が増えています。
日本大学危機管理学部・鈴木秀洋准教授:
「ちゃんと行政法の逐条や書籍にも例としてあがっていますし、どういう場合に自分たちが責任を問われるのかという観点からもこの事件から学ばなければならないという人たちは増えています。みなさんが学ぶことで子どもの命が今後守られてくる」
剣太さんの命が失われたことをきっかけに見直しが進む学校の安全対策。今年は両親にとっても前向きな言葉を報告することができました。
母・奈美さん:
「子どもたちの尊い命を守るように周りが動いてくれているよ。あなたが17年生きてきて命を落としてしまったけど決してわたしたちは無駄にしたくなかったし無駄になっていないと信じているのでお父さんとお母さんが動ける間は剣ちゃんもう少し一緒にがんばろうね」

13年の月日を経ても我が子を失った辛さが消えることはありませんが、悲劇を二度と起こさないという強い思いは着実に実を結んでいます。