大分県九重町で、モンゴルとの友好を地域の活性化につなげる取り組みが進められています。そのかけ橋となって奮闘する元モンゴル大使の思いを取材しました。

3月7日、日本一の高さを誇る「九重“夢”大吊橋」を、モンゴルの高校生らが訪れました。35人の一行は、国が推進する「対日理解促進交流プログラム」の一環で、7日から県内を訪れています。

(モンゴルの高校生)「吊り橋は高くて怖かったけど楽しかった」

大吊橋を訪れたモンゴルの高校生(3月7日)

こうしたモンゴルとの交流は、九重町出身で、在モンゴル特命全権大使を務めた清水武則さん(71)がきっかけとなりました。去年10月には清水さんの働きかけで、九重町とモンゴル中部にある郡が、共通資源の温泉を通じて交流する覚書を交わしました。

(元在モンゴル特命全権大使・清水武則さん)「九重町を理解してもらうためには、モンゴルがひとつのツールになると思った。誰も日本でやっていない温泉のまち交流をやれば注目してくれると」

清水さんは大使を含め、外交官時代に4回モンゴルに赴任。特に教育環境の整備に尽力し、モンゴルで最高位の勲章を日本人で初めて受章しました。

(清水武則さん)「ずっとモンゴルを観察してこれた。発展段階を全部見ながら、モンゴル人の苦しみとか悲しみを日本がどうやって解決するか、考えながら仕事ができた」

清水武則さん

7日訪れた一行の前で清水さんは講演も行い、日本がモンゴルの民主化支援の先頭に立った歴史や、国際情勢の行方などについて、レクチャーしました。

(モンゴルの高校生)「自分の国の知らなかった歴史もしっかり理解できた。大人になったら、国の発展のために役に立ちたい」

清水さんは今後の地域活性化は、観光振興がカギになると語ります。去年は大分とモンゴルを結ぶ、チャーター便の初運航を実現させました。活動の原動力となっているのは、故郷への思いです。

(清水武則さん)「昨年VIVANTというTBSのドラマが流行った。観光というのは重要な分野だと思っているので、ぜひたくさんの人に行ってほしいと思う。仕事が終わったら、九重町に必ず帰る。素晴らしい故郷に最後は骨を埋める気持ち」

清水さんは、現在「日本・モンゴル友好協会」の理事長などを務め、東京と大分を往復する生活を続けていますが、一線を退いても、故郷からモンゴルとの友好関係の構築につとめることにしています。