この研究の一環で、去年完成したこちらの実験装置は、廃材を “不完全燃焼”させることで、可燃性の一酸化炭素を取り出すことができます。

今後は取り出した一酸化炭素を電気に変換し、“非常用電源”として活用する方法も検討するということです。

長崎総合科学大学総合情報学部生命環境工学コース 中道隆広 准教授:
「未利用資源というのは、利用しなければゴミなんですね。ゴミなんでこれをうまく活用すると資源として使うことができます。今までは燃やして捨てていたような資源をもう一度リサイクルする、再利用するというところの循環型社会が構築されていくのではないかと考えています。
まだまだ山は高いんですけれども、それに向かって研究開発をして一歩一歩(カーボンニュートラル実現に向けて)進んでいきたいなと考えております」
巨大化する情報処理の電力消費を太陽光で

長崎総合科学大学のカーボンニュートラル研究について、工学部では“消費電力のロスを減らす研究”などが進められています。

その一つで梶原講師が目を付けているのが、インターネット利用時に情報処理をする機器を備えた『データセンター』です。

今後さらなるデジタル化でデータセンターの消費電力が急増し、供給が追いつかなくなる恐れがあるためです。

長崎総合科学大学工学部電気電子工学コース 梶原一宏 講師:
「再生可能エネルギーを導入しなければ、データセンターの消費電力に追いつかないと。データセンターの消費電力が増えすぎて、情報サービスが受けられないといったことは避けないといけませんので」

そこで、地元企業や福岡県の大学と協力して去年完成させたのが、こちらの電力変換器です。

太陽光発電でつくられた高い電圧を、データセンターでの利用に適した電圧に瞬時に変換することができます。


長崎総合科学大学工学部電気電子工学コース 梶原一宏 講師:
「1,200Vくらいの電圧が太陽光から入ってきて、それを4つの電力変換器と呼ばれるもので48Vに変換してデータセンターに送ります。
高い電圧に対応した──しかも効率のよい変換器っていうのが今までなかったというのが課題になっています。
我々は(電力変換器の)構成などを工夫することによって、高い電圧にも対応して効率のいい電力変換器を開発したということになります」

以前と比べ電力ロスを2割削減でき、『再生可能エネルギーの効率化』につながることが期待されていて、4年後の実用化を目指しています。
“洋上風力発電”や“地熱”など 長崎県は再生可能エネルギーが豊富

長崎総合科学大学工学部 梶原一宏 講師:
「洋上風力発電やられていたり、雲仙に地熱発電があったり、結構色んな再生可能エネルギーが豊富。
(これらを)効率よく使うシステムを長崎で開発して日本全国に広がって、さらに世界に広がっていくという貢献をして、長崎を元気にしていきたいです。それが日本のためにもなればなと考えています」

2050年のカーボンニュートラル実現へー地球規模の課題に県内の大学や企業も向き合い、研究を重ねています。